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アメリカの帝国主義が、政党に及ぼした影響とは

一方民主党は、南北戦争の敗北によって大きな打撃を受け、南部の支持基盤の多くを失いました。しかし北部の共和党支持層からこぼれた労働者層や、増えつつあった移民層に支持を広げるとともに、南部の合衆国復帰によって勢力を回復させていきます。

アメリカの帝国主義化で変化していく政党

次の大きな転機が、アメリカの帝国主義化です。
19世紀後半になってアメリカの工業化が急速に進み、ロックフェラーらをはじめ巨大資本が形成されると、共和党は工業重視、保護関税政策、米西戦争などによる海外領土の獲得を掲げ国民の支持を獲得していきます。

一方民主党は、貧富の差の拡大や農民の不満を背景に革新的な主張を掲げますが、共和党の勢いには勝てませんでした。

アメリカの2大政党の20世紀

20世紀に入り、一時は分裂した共和党の混乱に乗じて政権を奪取した民主党でしたが、第一次大戦で戦勝国となったアメリカ経済の繁栄を主導したのが共和党でした。
ハーディング、クーリッジ、フーバーの時代です。WASP(ワスプ)と呼ばれる白人優越意識が台頭したのもこの頃で、共和党は大資本擁護、既得権益の保護と結びついた保守政党としての性格を強めていきました。

しかしアメリカの2大政党は、1929年に起きた世界恐慌によって転機を迎えます。世界恐慌による大不況を立て直したのが、民主党のフランクリン・ルーズベルトが打ち出したニューディール政策でした。
この頃、民主党は南部の農民の党という性格から、共和党が取りこぼした都市の中間層や黒人などを支持基盤として富の再配分を主張する党へと変貌していきます。フランクリン・ルーズベルトは4選を果たし、共和党政権の復活は第二次大戦後のアイゼンハワーまで待つことになったのです。

アメリカの2大政党はリベラルと保守が対立し、政権交代を繰り返す

次に民主党が輝いたのは、ケネディの時代です。1961年に発足したケネディ政権は「ニューフロンティア」を掲げるとともに、黒人の公民権を認めるなど革新政党として政策を実現しました。

さらにキューバ危機を乗り越えると、民主党の支持はさらに高まっていきます。しかしケネディは、1963年にテキサス州ダラスで暗殺されるのです。

目まぐるしく変化していく2大政党の政況

後任となったのが副大統領だったジョンソンでしたが、ベトナム戦争介入に踏み切り戦争が泥沼化すると、党内のリベラル派や学生たちの強い反発を生み、反戦運動が激化します。ジョンソンは退陣を余儀なくされました。

この間、共和党は公民権運動による黒人差別撤廃に危機感を抱いた南部保守層を取り込むことに成功します。南北戦争では奴隷に反対し南部の権益者と対立して来た共和党は、180度の路線転換を行うことになります。

その後、民主党はクリントンやオバマに代表されるリベラル共和党はブッシュ、トランプに代表される保守という政治的スタンスが現在に至るまで続き、二大政党による政権交代が繰り返されているのです。

アメリカの2大政党の現在の主張とは

アメリカの2大政党の現在の主張とは

『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!

“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。

【見どころ―目次より抜粋】

1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州

2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道

3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢

4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)

巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)

【監修者】デイビッド・セイン

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。

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