フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  関東 > 東京都 >

武蔵野台地形成に影響した多摩川は流れを変えながら東京を形づくった

昔の多摩川は奥多摩の古い山地を抜け出た青梅付近を頂点にして砂や礫を堆積し、何度も流路を変えながら、広い範囲にわたって砂礫層を積み重ねてきたと考えられています。

多摩川は現在の流れだけでなく、北東にも流れていたときがありました。埼玉県の小手指(こてさし)の台地や所沢の台地に見られるように、下末吉(神奈川)、武蔵野、立川と、時代を通じてさまざまに流路方向を変化させ、各地域に多摩川の扇状地が形成されたと考えられています。

武蔵野台地と谷と川

武蔵野台地と谷と川
出典:貝塚爽平監修・東京都地学のガイド編集委員会編『東京都 地学のガイド 東京都の地質とそのおいたち』(コロナ社),P81を元に作成

武蔵野台地は現在の多摩川の流れからすると、さらに広範囲にわたっていました。流れの方向も東西だけではないことがわかります。

武蔵野台地に高低差がある理由

武蔵野台地の表面は決して平らな面でできているわけではなく、表面のできた時代によって何段かの高低差があります。一般には、高い位置にある面は古く、低い位置にある面は新しくできたものです。

新宿のある淀橋台や大田区から世田谷区へかけての荏原台(えばらだい)は武蔵野台地の中ではもっとも古く下末吉面(しもすえよしめん)と呼ばれています。武蔵野台地の西は表面が平らな部分が多い割に、淀橋台や荏原台では表面を流れる川により浸食された谷がかなり複雑な地形を作っています。これが山の手に坂が多い理由とされているのです。

武蔵野台地を覆うローム層とは

武蔵野台地の表面のほとんどは赤い土、いわゆる関東ローム層で覆われています。ローム層は富士山や箱根山などの噴火で噴き上げられた火山灰が堆積したものであり、ローム層は高位の面に多く、低位の面は薄くなる傾向があります。

約5万年前、武蔵野面を削って一段低い所を多摩川が流れていました。降ってきた火山灰はどこも同じにように積もりましたが、氾濫原(河原の堆積作用で生じた平地で洪水時に冠水する部分)に降った火山灰は流水により流されたり、削られたりします。この武蔵野面に堆積したローム層を武蔵野ローム層といいます。次に、2、3万年前頃に多摩川が一段と深い谷を刻んだため、それまでの氾濫原が段丘化して立川段丘が形成されました。この立川面に堆積したのが立川ローム層といわれています。

段丘と関東ローム層との関係

段丘と関東ローム層との関係
出典:貝塚爽平監修・東京都地学のガイド編集委 員会編『東京都 地学のガイド 東京都の地質とそのおいたち』(コロナ社),P79を元に作成

平面の武蔵野面は武蔵野ローム層の堆積前に形成。ローム層が堆積し河床部分が流水して新しい立川面が形成されました。

関東ローム層は場所によって厚さが異なる

ローム層の厚さは場所により違い、淀橋台の関東ローム層は約10m、豊島台や目黒台では関東ローム層は約5~8mとやや薄く、その下には砂礫層(されきそう)があります。立川や調布などは豊島台や目黒台よりも低く、関東ローム層は2~5mと薄く、その下は砂礫になっています。

『東京のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から東京都を分析!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。東京の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

【見どころ】 Part.1 地図で読み解く東京の大地

・「低地」の下町と「台地」の山の手、 2つの地形で成り立つ東京
・多摩川によって作られた? 東京に広がる武蔵野台地
・昭島市はかつて海だった!? アキシマクジラ発見の衝撃
・御神火が生んだ島々、伊豆諸島の誕生と火山の関係
・実は立川市内にはない? 東京の活断層「立川断層」とは?
・玉川兄弟が江戸まで引いた ! 標高差わずか92mの玉川上水
・23区内は坂だらけ? 900以上の名前を持つ坂がある
・凸凹を考えて見てみるとおもしろい! スリバチ状の地形が点在する東京
・渋谷は谷が密集してできた街だった
・千鳥ヶ淵はダムだった !?
・荒川と隅田川に囲まれた低地はなぜできたのか? 海抜ゼロメートル地帯江東デルタ
・“荒ぶる川”荒川の流路付け替え
・地下の大宮殿!? 日原鍾乳洞
・火山活動で誕生した島々の進化の歴史 、小笠原諸島の成り立ち
…etc.

【見どころ】Part.2 東京を駆け抜ける鉄道網・交通網

・海の中を走る鉄道だった!? 日本初の鉄道が新橋~横浜で開通
・馬車鉄道から始まった東京の都市交通機関、60年にわたる路面電車の活躍
・日本の発展を支えた100年。帝都の玄関口、東京駅開業
・関東大震災以降、東京は郊外へと拡がった。田園調布の開発と私鉄の発展
・地下鉄は銀座線から始まった/東京地下迷宮! 幻のホームとは!?
・64年東京五輪のレガシー “夢の超特急”東海道新幹線開通!
・都電荒川線が唯一存続した理由
・新宿駅がビッグターミナルになるまで
・高尾山ケーブルカーは日本一の急勾配!?
・五街道の起点となった日本橋
・勝鬨橋は幻の万博のために作られた
・首都高速の誕生と未来/東京の交通網の未来予想図
…etc.

【見どころ】Part.3 東京で動いた歴史の瞬間

・天之手力雄命と菅原道真公を祀る 古代に創建された湯島天満宮
・片田舎の武蔵野は関東随一の大国だった
・文武両道の才人、太田道灌が江戸城を築城
・八王子城の落城と戦国時代の終焉
・江戸幕府開府と家光で完成した大都市
・迫られる外交方針 ! 徳川家光が定めた「鎖国」体制
・江戸を襲った明暦の大火
・江戸を恐怖の底に陥れた安政の大地震
・徳川慶喜の思惑が外れた大政奉還
・中央集権国家の誕生へ ! 東京の誕生と廃藩置県
・大久保利通暗殺、紀尾井坂の変
・江戸本所生まれ、郷土の偉人 勝海舟の波乱の人生を追う
・関東大震災 被害と復興
・“玉砕の島”硫黄島の悲劇
・条件降伏と玉音放送
・東京裁判とスガモプリズン
・敗戦から19年目の東京五輪
・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
…etc.

【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化

・吉原遊廓は文化サロンの一面も!?
・大衆文化の頂点に立った江戸歌舞伎
・開国要求への抵抗!「お台場」の由来は幕末にあった
・西洋スタイルの銀座煉瓦街が誕生
・日本初の第一国立銀行は日本橋で誕生した
・一丁倫敦と呼ばれた丸の内 職人が手作業で組み立てた東京タワー
・神田から始まった日本の近代下水道モデル
・都営白鬚東アパートは巨大防火壁だった!
…etc.

『東京のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  関東 > 東京都 >

この記事に関連するタグ