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伊豆急行線開業の前に計画されていた「伊豆半島循環鉄道」

このように、JRと伊豆急行との強い一体性が感じられる熱海から下田までの鉄道ルートですが、もともとこの区間は一つの路線として計画されていました。1922(大正11)年公布の改正鉄道敷設法に盛り込まれた、熱海から下田、松崎を経て大仁(おおひと)(現在の伊豆の国市大仁)に至るという、伊豆半島循環鉄道の計画がそれです。

伊豆急行線の開業で大きく改善された伊豆半島南部の交通事情

伊豆半島循環鉄道の建設計画は、1938(昭和13)年に熱海駅~伊東駅間16.9㎞が国鉄伊東線として開業しただけでその後進捗せず、戦後には事実上白紙となってしまいました。

ですが、伊豆半島の観光開発を構想していた東京急行電鉄が、新たに伊東~下田間に鉄道を敷くと名乗りを上げ、1959(昭和34)年に建設に着工。1961(昭和36)年12月10日、伊豆急行線が開業し、国鉄伊東線と一体となった、伊豆半島東海岸沿いの鉄道ルートが誕生したのです。

伊豆半島南部の交通事情は劇的に改善され、下田では幕末の開国の故事になぞらえ、伊豆急行線の開業は「第二の黒船来航」だとして歓迎されました。

伊豆急行線はじつはトンネルが多い!

ところで、海沿いの鉄道のイメージが強い伊豆急行線ですが、実際には海が見える区間は半分程度に過ぎません。トンネルが31か所もあってその総延長が17.8㎞と全線の約4割を占めていたり、斜面の中腹に駅があったりするなど、意外にも勾配が多く平野部を走ることがほとんどない、国内でも稀有な路線となっています。

伊豆急行線南部の路線図

伊豆急行線南部の路線図

今井浜海岸駅付近までは、国道135号とともにほぼ海沿いのルートで南下していますが、河津駅付近で引き続き海沿いを行く国道とは分かれて山間に分け入り、伊豆急下田駅到着まで海を望むことはできません。

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Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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