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伊豆半島ジオパークのポイント①:原型は硫黄島付近にあった海底火山群

当時、伊豆半島の原型は海底火山群で、本州から南に数百km離れた、現在の硫黄島付近の海の底にありました。海底火山群はフィリピン海プレート上にあり、そのプレート下部からマグマが発生しました。さらにフィリピン海プレートは、本州が載っているユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、海底火山群は本州に引き込まれるように北上。同時に海底火山の一部は噴火を繰り返すことで海上に頭を出し、火山島となりました。西伊豆や南伊豆では、海底火山時代の名残りを感じさせる地層や岩石を今も見ることができます。

伊豆半島ジオパークのポイント①:原型は硫黄島付近にあった海底火山群
参考:伊豆半島ジオパーク推進協議会

手前のフィリピン海プレートが本州側のユーラシアプレートに引き込まれています。

伊豆半島ジオパークのポイント②:原型の火山島と本州が衝突

200万~100万年前くらいになると、火山島がつながって大きな陸地ができました。その陸地が本州に衝突し半島になったのが約60万年前のこと。

半島になってから約20万年前までは、陸上の至る所で噴火が起き、天城山(あまぎさん)や達磨山(だるまやま)といった大型の火山ができあがり、ほぼ現在の伊豆半島の形になりました。

伊豆半島ジオパークのポイント②:原型の火山島と本州が衝突
参考:伊豆半島ジオパーク推進協議会

伊豆半島ジオパークのポイント③:周辺で見られる火山の痕跡や景観

天城山や達磨山は、同じ火口から何度も噴火を繰り返して火山を成長させる「複成火山」ですが、この時期を過ぎると活動がおさまり、代わりに「伊豆東部火山群」と呼ばれる小さな火山の集合体の動きが活発になりました。「伊豆東部火山群」は、噴火の度に火口の場所が変わる「独立単成火山群」で、国内にはほかに「阿武(あぶ)火山群」(山口県)と「福江(ふくえ)火山群」(長崎県)しか例のない珍しい種類。

この特異な火山群は、噴火により地表面にスコリア(火山砕屑物)が放出され、錐台(すいだい)形の山になった「スコリア丘」、マグマが冷えて岩石になる過程で五角形や六角形の柱状の割れ目ができる「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」、火口に水が溜まってできた「火山湖」など、東伊豆を中心にユニークな景観を生み出しました。

ダイナミックな地殻変動と火山活動により、人々を魅了するジオパークとなった伊豆半島の大地は、今後もその姿を変えながら、私たちに新たな贈り物を届けてくれるでしょう。

伊豆半島ジオパークの見どころ「ジオサイト」

ジオパークの大地のなりたちがわかる見どころを「ジオサイト」と呼び、伊豆半島全土に多数存在しています。

達磨山(複成火山)

伊豆が半島になった後、約100万~50万年前に噴火を繰り返した陸上火山。

一碧湖(いっぺきこ)(独立単成火山群)

爆発的な噴火によってできた火口が「マール」と呼ばれる窪地になり湖になりました。

一碧湖

住所
静岡県伊東市吉田
交通
JR伊東線伊東駅から東海バス一碧湖経由シャボテン公園行きで28分、一碧湖下車、徒歩5分
料金
ペダルボート(30分)=1500円/

大室山(独立単成火山群)

直径250~300mほどのすり鉢状の噴火口を持つ、伊豆半島で最大のスコリア丘。

大室山(独立単成火山群)
観光協会・観光局

大室山

住所
静岡県伊東市静岡県伊東市池672-2
交通
伊豆急行伊豆高原駅から東海バスシャボテン公園行きで21分、終点で登山リフトに乗り換えて5分、終点下車すぐ
料金
リフト乗車料金(往復)=大人700円、4~小学生350円

釜滝(独立単成火山群)

河津七滝の一つで、周囲に「柱状節理」が見られます。

釜滝(独立単成火山群)

釜滝

住所
静岡県賀茂郡河津町梨本
交通
伊豆急行河津駅から東海バス修善寺駅行きで30分、水垂下車、徒歩10分
料金
情報なし

恵比須島(海底火山)

海底噴火で流れ出した「水底土石流」の堆積物が残るジオサイト。

恵比須島(海底火山)

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日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。静岡の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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