フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  関西 > 兵庫県 >

神戸の湾岸埋め立て事業

南側に海、背後に六甲山地が迫る細長い低地帯の神戸市では、臨海工業用地の確保や港湾施設の整備、急増する人口に対応して住宅地を増やすことが緊急の課題となっています。

そこで、これらの課題を一挙に解決するために考えられたのが、六甲山地の花崗岩を削って土地を造成し、その土砂で海を埋め立てるウォーターフロント計画です。1966年に神戸港内で最初の埋め立てが始まり、沿岸部に陸地や人工島が築かれていきました。

人工島によって拡張された神戸市

神戸港内には、コンテナ埠頭(ふとう)や倉庫群などからなる人工島の「ポートアイランド」がつくられました。第1期(443ha)は1981年、第2期(390ha)は2010年に完成しました。

その東側には、住宅地や商業施設が集積する人工島の「六甲アイランド」(総面積595ha)が1988年に完成しました。

さらに2006年には、ポートアイランドの沖合約1㎞の場所に神戸空港が開港します。空港島の面積は272haです。

この3つの人工島の面積を合計すれば1700ha(17㎢)となります。神戸市兵庫区(面積14.68㎢)より広い土地が戦後に生まれ、沖合に浮かんでいるということになります。

神戸沖合の埋立地の土砂はどのようにして運んだ?

沖合に人工島をつくるための土砂は六甲山地から運ばれました。まず、総延長14.5kmのベルトコンベアで須磨の船積桟橋(ふなづみさんばし)まで運び、次にそこから土運船(どうんせん)で沖合の埋立地へと運ばれました。埋立地では船の底を開いて直接海底に投入したとされます。

長距離ベルトコンベアが設けられた理由は、ダンプトラックの通行による騒音公害を防ぐためでした。ベルトコンベアは1964年から2005年まで運転されました。

なお、土砂を削った跡地が、須磨ニュータウンや神戸テクノ・ロジスティックパーク(複合産業団地)などとなりました。

阪神間の湾岸埋め立て事業

芦屋市では、芦屋川と宮川の河口を埋め立て開発された総面積125haの「芦屋浜シーサイドタウン」が1979年に竣工。

西宮市には、西宮地区147.6ha、甲子園地区80ha、鳴尾地区144haの3つの埋立地が造成され、埠頭やごみ処理場、海浜公園などが整備されました。

尼崎市の臨海地域は、阪神工業地区の一翼を担う工業地だったため、戦前より埋立地が建設され、おもに工場用地として使われてきました。近年では運輸・流通施設、公園などへ転用されています。なお、尼崎市では臨海地域が市の20%を占めています。

神戸・阪神間は明治時代とまったく異なる海岸線となった

神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市の沿岸は1950年代以降、大胆な都市化計画によりどんどん拡張を続けてきました。明治初期の海岸線と比べると、もはやまったく別の地域になっていることがよくわかります。

『兵庫のトリセツ』好評発売中!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。兵庫県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

●地図で読み解く兵庫の大地

神戸市の背後にそびえる六甲山の誕生の秘密、新温泉町や香美町で体感する山陰海岸ジオパーク、明石市を通る標準子午線はじつは少しズレている、地形と地質からひもとく日本最古の名湯・有馬温泉、地形で読み解く高級住宅地「芦屋市六麓荘町」の魅力、芦屋川や住吉川など阪神間の河川に天井川が多い理由・・などなど兵庫のダイナミックな自然のポイントを解説。

●兵庫を走る充実の交通網

「神戸線」の名を冠した阪神間の交通網の成り立ち、地味だけど速い!人気!智頭急行の秘密、意外な形で兵庫県内に残る弾丸列車計画の線路予定地、人気のハイキングコースとなった福知山線の線路跡、地元民も予想外だった新幹線相生駅ができたワケ…などなど、意外と知られていない兵庫の交通トリビアを厳選してご紹介。

●兵庫の歴史を深読み

丹波市で発見された恐竜の化石からわかる古代の兵庫、日本のはじまりは兵庫から!淡路島に伝わる国生み神話、古墳の数が日本一!なぜ兵庫には古墳がたくさんあるのか、清盛が築いた日本の首都・福原京の今むかし、石をどうやって山頂へ 朝来市の「天空の城」の謎、そもそも何 なぜここに 高砂市にある石の宝殿の謎、兵庫港と神戸港の違いとは その長くて深い歴史、兵庫は重要な拠点だった 消えた軍事遺跡を歩く・・・

などなど、思わず「そうだったのか」と納得のネタに尽きない兵庫の歴史。知れば知るほど兵庫の歴史も面白い。

『兵庫のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  関西 > 兵庫県 >

この記事に関連するタグ