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長崎の斜行エレベーターは斜面移送手段として考案された

もちろん、長崎市も斜面市街地が抱える問題への取り組みは続けています。階段道のスロープ化や水路の暗渠化による車道整備、通常の交通手段を補完するための乗合タクシーや小型バスの導入など、市民生活の利便性向上に注力。

そうした数々の取り組みのなかには、ほかの斜面都市では見かけないようなユニークで珍しいものもあります。それが「斜面移送手段」です。

長崎の斜行エレベーター「グラバースカイロード」

その例としてまず挙げられるのが、市内の石橋電停からグラバー園旧三菱第2ドックハウス横の第2ゲートまでを結ぶ「グラバースカイロード」。斜行エレベーターと垂直エレベーターを組み合わせた道路で、全国で初めて街路事業として整備されたものです。

斜行エレベーターは、2002年から供用開始。全長160m、高低差50mを17人乗りのエレベーターが分速90mで運行します。乗降口は5か所あり、住民の生活の足となっています。もう一方の垂直エレベーターは、2003年に供用開始。乗降口は3か所で高低差18m、11人乗りで分速60mです。

長崎の斜行エレベーター「グラバースカイロード」

斜行エレベーターは傾斜角31度。往復約3分半で運行します。

長崎の斜行エレベーター以外に開発された斜面移送手段

そして、迫力ある見た目の「グラバースカイロード」に対して、愛らしささえ感じさせるのが、住宅地の坂道に設置された斜面移送機器(簡易型リフト)です。坂に沿って設置されたレールに吊り下げられた電話ボックスのような箱が人を乗せて運びます

長崎市内の3か所に設置されており、いずれも定員2名折りたたんだ状態の車いすを載せることもできます。「地域の65歳以上」などの利用制限があり、分速15mのスピードは、「歩くほうが速い」ほどだが、地域の高齢者が外出する機会を増やした、というアンケート結果につながっています。

3か所それぞれの移送機器には愛称が付けられており、「長崎ならではの乗り物」として、写真を撮る人もいるようです。住民向けの斜面移送機器が「観光資源」になってしまうのも、長崎ならでは、なのかもしれません。

長崎の斜行エレベーター以外に開発された斜面移送手段

斜面移送システムは、高齢者が多い地域や機器設置に必要な道路幅がある場所に設置されました。

長崎の坂の名前に隠された秘密

長崎の坂には、住民が愛着を込めて付けた名前がいくつもあります。外国人が多く住んでいた南山手にある石畳の坂は「オランダ坂」。出島にオランダ人が住んでいた影響から長崎の人は西洋人を一様に「オランダさん」と呼んでいました。

同じく南山手の「どんどん坂」は、水流を調節する側溝があり、雨が降るとドンドンと音をたてたところから、その名が付きました。寺町周辺の「ヘイフリ坂」は、山の石を切り分けて運ぶ人々を、御幣(木や竹に紙をはさんだ神祭用具)を振りかざして励ましたことに由来します。

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Part.1 地図で読み解く長崎の大地

・地殻変動と火山が生んだ唯一無二の景観! 海に囲まれ平地が少ない長崎の地形
・島の数971! 長崎は日本一の多島県
・火山活動が作ったダイナミックな地形! 島原半島ジオパークとは?
・長崎は江戸時代から埋立都市だった?
・「国境の島」対馬の特殊な生態系
・水中調査で解明! 横島沈没の謎
・国内初のティラノサウルス発掘! 長崎は白亜紀の化石の宝庫だった
・世界でも稀な西海市の七ツ釜鍾乳洞
・最先端をゆく五島の洋上風力発電

…など

Part.2 長崎に開かれた多彩な交通網

・初期の長崎本線は早岐経由だった
・新幹線開業に向け再開発中! 長崎駅の今昔
・新旧の車両が行き交う長崎電気軌道
・小島が国際空港に! 長崎空港は世界初の海上空港
・長崎が生んだ画期的な交通手段! 坂を上る日本初のエレベーターとは!?
・東洋一と称された西海橋の誕生
・進化を遂げた長崎街道の日見峠
・松浦鉄道には3つの日本一がある!?
・当時の面影が残る雲仙鉄道の廃線跡
・島原鉄道は奇跡のローカル線!?
・吉田初三郎が描いた 長崎の鳥瞰図

Part.3 長崎で動いた歴史の瞬間

・東アジアの一大交流拠点だった! 原の辻遺跡が語る古代の交易
・“神風”の謎が海底遺跡調査で判明!? 鷹島神崎遺跡から見る蒙古襲来
・ポルトガルが平戸で貿易を始めたワケ
・なぜ長崎は教会領になったのか
・町民が主役!? 特例だらけの貿易都市長崎の誕生
・ラクダを飼っていた!? オランダ人の出島生活の実態とは
・龍馬を襲った「いろは丸事件」の真実
・倒幕の裏には大村藩士の活躍があった
・人口約4000人の村が一変!? 寒村だった佐世保が大変貌したワケ

…など

Part.4 長崎で生まれた産業や文化

・印刷も写真も通信も長崎発祥!? 長崎は“日本初”を量産していた!
・世界遺産に登録された日本造船業の原点! 三菱長崎造船所のあゆみ
・細部まで技巧を凝らした圧巻の建築美! 数々の教会堂を手がけた鉄川与助とは
・テーマパークの枠に留まらない魅力に迫る! 進化するエコシティ ハウステンボス

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