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【新潟の歴史】鎌倉府とのつながりを疑われた上杉氏

15世紀初頭、室町幕府と鎌倉府の関係は険悪化していました。もともとは幕府が関東統治のための出先機関として設置したのが鎌倉府であり、その長官の鎌倉公方を補佐する役割として関東管領が設けられていました。ですが、鎌倉公方は独立心が強く、たびたび幕府に反目していました。1422(応永29)年に越後守護を継承した上杉頼方(よりかた)は、実弟が関東管領であったため、幕府から鎌倉派の嫌疑がかけられたのです。

越後応永の大乱とその後

実際に鎌倉府と通じていたのは守護代・長尾邦景(くにかげ)でした。上杉頼方は自身にかけられた疑いを晴らすため、1423(応永30)年、揚北衆(あがきたしゅう)をはじめ越後国中の国人たちに長尾邦景討伐を命じます。これが「越後応永(おうえい)の大乱」の発端となりました。
この越後国中を巻き込んだ大乱は守護方の敗北に終わります。その後、長尾氏はそれまでの親鎌倉路線を捨てて6代将軍・足利義教(よしのり)に接近。幕府の後援を得ますが、鎌倉府が滅亡して足利義教が暗殺されると、長尾氏も力を失っていきます。

【新潟の歴史】上杉氏と長尾氏との関係性はなかなか良化しない

越後守護に就任した上杉房定(ふささだ)は、1450(宝徳2)年に長尾氏を攻めて長尾邦景を自刃に追い込みます。上杉房定は拠点を京から越後府中(上越市)に移し、領地を直接支配する守護大名へと成長し、上杉房定の治世下で越後国は安定化しました。揚北衆の本庄(ほんじょう)氏が反乱を起こしたときには長尾能景(よしかげ)が派遣されたように、長尾氏も上杉房定には従っていました。

長尾氏は支配力高めるが国人とは対立する

しかし、上杉房定の没後、長尾為景(ためかげ)が守護代を後継すると、次第に上杉氏に反目するようになります。1507(永正4)年には新守護擁立の謀叛を起こし、越後守護・上杉房能(ふさよし)を自害に追い込みます(永正(えいしょう)の乱)。関東管領・上杉顕定(あきさだ)(房能の実兄)が報復に出向いてくると、長森原(ながもりはら)(南魚沼市)で上杉顕定を討ち関東管領軍を撤退させます。長尾為景は越後国での支配力を強めていきますが、上田長尾氏をはじめ越後の国人たちとは対立してしまい、隠居を余儀なくされました。

【新潟の歴史】長尾景虎による越後国平定

長尾為景の死後、後継の晴景(はるかげ)は病弱で越後国内を統制できませんでした。このため越後国では内乱が相次ぎ、晴景の実弟・長尾景虎(上杉謙信)がこうした反乱をことごとく平定していきます。

守護代を相続し快進撃を続ける

すると、揚北衆の鳥坂(とっさか)城主・中条藤資(なかじょうふじすけ)や、北信濃の中野城(長野県中野市)主・高梨政頼(たかなしまさより)らが長尾景虎を擁立し、長尾景虎が守護代家を相続するのでした。1551(天文20)年に上田長尾氏(長尾政景(まさかげ))の反乱を鎮圧した長尾景虎は、わずか22歳で越後一国を平定するのでした。

南北朝時代を経て、上杉氏は越後の支配を確実にするために、京都から越後に移って土着し始めます。守護の代理として現地で勢力を広げていた長尾氏とのあいだで緊張が高まっていきました。
『日本史年表・地図 第25版』(吉川弘文館、2019年)を元に作成。

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Part.1 地図で読み解く新潟の大地

・新潟の地質・地形概論(「米納津隕石、櫛池隕石」)
・約3000万年前に誕生した佐渡島 火山や地殻変動の痕跡がいっぱい!
・かつて圧倒的な産出量を誇った佐渡島の金銀山が生まれた秘密
・プレートの沈み込みが生む奇跡!糸魚川地域でヒスイが採れるわけ
・ヒスイ峡に3億年前のサンゴ礁!? 石灰岩でできている明星山の秘密
・日本列島を分断する見えない溝 フォッサマグナとはいったい何か?
・最長70㎞で10列をなす新潟砂丘は信濃川と阿賀野川がつくった!?
・約40年前から形成され始めた中津川に広がる河岸段丘の絶景
・約1000万年前の海底火山が生んだ新潟市・間瀬海岸の奇岩や沸石
・上信越高原国立公園・清津峡 圧巻の渓谷と柱状節理ができるまで
・産出量は文句なしの全国1位! 新潟県に油ガス田が多いわけ
・約300万年で2000mも隆起! 八海山が秘める地殻変動のすごさ

Part.2 新潟を駆ける充実の交通網

・東京と新潟をいかにして結ぶか?直江津線として生まれた信越本線

ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。

Part.3 新潟の歴史を深読み!

・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟

Part.4 新潟で育まれた産業や文化

・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業

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