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伊豆の温泉の特徴

静岡の温泉の特徴は、その源泉のうち、約2300が伊豆半島に集中していること。それに合わせて温泉宿も多くあります。実は伊豆半島の温泉は火山性のものではありません。伊豆半島は約100万年前頃、フィリピン海プレートの移動によって本州と衝突して生まれたとされていますが、そうした過去の火山活動の恩恵が、今も温泉の熱源となって伊豆の温泉を潤しています。

そのため、内陸と沿岸とでは温泉の質にも違いがあります。内陸は硫黄塩泉が多く、沿岸部の温泉は塩化物泉が多いのです。それぞれの湯に地元の恵みを生かした温泉まんじゅうや温泉客のための銘菓があるのも、伊豆の温泉の面白いところです。

熱海温泉の歴史は1700年以上前から日本の温泉文化を築いてきた

伊豆の温泉の中でも「日本三大温泉」の一つに数えられるのが熱海。歴史は古く、仁徳天皇が「熱い海」と称するなど1700年以上前から温泉の存在が知られていました。

江戸時代は徳川家御用達の湯として愛され、1874(明治7)年、日本で初めての西洋式温泉分析報告書は熱海の湯によるもの。1883(明治16)年には、温泉に関する取締規則の制定が発布され、その2年後の1885(明治18)年には温泉療養センター「噏滊舘(きゅうきかん)」が設立されます。1888(明治21)年には、御用邸が初めて、温泉地である熱海に建てられるなど、日本の温泉文化が熱海で築き上げられてきたことがわかります。時代が大きく移り変わった今も、熱海の湯は多くの人々を魅了しています。

熱海温泉の歴史は1700年以上前から日本の温泉文化を築いてきた

海岸を見下ろした熱海の景観。多くの温泉宿やホテルが立ち並びます。

熱海温泉の歴史は文人墨客とともに築かれた

古くから温泉地として名を馳せていた伊豆の湯は、湯治客はもちろん、天城山を越える旅人の疲れも癒してきました。そのため、温泉にまつわる伝説や逸話も少なくありません。

修善寺にある「独鈷の湯」もその一つです。弘法大師(空海)が807(大同2)年に修善寺を訪れた際、病気の父を世話する少年のために、持っていた独鈷杵で川の岩を砕いて霊泉を湧き出させたとされます。

また、熱海の温泉宿は明治以降、数々の文人墨客が足を運びました。大正時代に建てられた別荘起雲閣(きうんかく)」が1947(昭和22)年に旅館として生まれ変わると、谷崎潤一郎、太宰治、志賀直哉といった名だたる文豪を迎えました。熱海を舞台にした尾崎紅葉『金色夜叉』は主人公の貫一・お宮の像が海辺に立ちます。海を望むロケーション、質のいい湯のもとで、多くの名作が生まれました。

文人墨客ゆかりの温泉宿

文人墨客ゆかりの温泉宿

起雲閣(熱海市)
数多くの文学者が滞在し名作を紡ぎだしました。

南山荘(伊豆の国市)
北原白秋が度々訪れました。川端康成は『伊豆温泉記』でここの湯を称賛しました。現在は休館しています。

安田屋旅館(沼津市)
太宰治が『斜陽』の第一章、第二章を執筆した宿。

<strong>牧水荘(ぼくすいそう) 土肥館(伊豆市)
大正から昭和にかけて若山牧水が幾度か滞在しました。

双柿舎(そうししゃ)(熱海市)
坪内逍遥が設計した和風建築・庭園が残ります。

湯回廊 菊屋(伊豆市)
夏目漱石が療養しました。

湯回廊 菊屋

文化財の宿 新井旅館(伊豆市)
横山大観や初代中村吉右衛門などが訪れました。

白壁(伊豆市)
井上靖などに愛された宿。

おちあいろう(伊豆市)
北原白秋や川端康成、梶井基次郎などが訪れました。

福田屋(河津町)
川端康成『伊豆の踊子』の舞台となった宿。

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Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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