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桐生の織物と歴史的な出来事との関係

歴史的な出来事のなかでも、桐生(きりゅう)の織物は大きな役割を果たしてきました。

元弘3(1333)年、地元の英雄・新田義貞(にったよしさだ)が鎌倉幕府討幕の兵を挙げた際、この地の絹で織った軍旗を掲げて勝利。慶長5(1600)年、関ヶ原の戦いの際には、徳川方の要請を受け、たった1日で2410疋(ひき)もの旗絹を献上しています。これらの逸話は、桐生の織物が昔から盛んだったことを端的に示しています。

江戸時代になると、京の西陣からの職人を積極的に取り入れて発展。上毛かるたで詠まれる以前に「西に西陣、東に桐生」と呼ばれ存在感を増していきました。

桐生の織物の近代化と織都としての成熟

明治に入るとさらに大きく飛躍。西洋の技術を取り入れた機械化で近代化に成功。海外での需要に応えて高級絹織物「羽二重(はぶたえ)」をつくり出しました。羽二重は、洋服地としても使えるため諸外国で評判となり、外貨を稼ぐ輸出品として盛んに生産されました。

その後も第一次世界大戦による急激な需要の拡大などにより、工場の近代化がより進みました。大正期には大企業が相次いで設立。昭和に入ると桐生は「織都(しょくと)」として成熟していきました。

桐生の織物の歴史を伝える建造物

現在の桐生には、歴史を伝える建物が数多く残されています。特筆すべきは群馬大学工学部同窓記念会館です。ここは織物の技術を研究・教育する桐生高等染織学校(きりゅうこうとうせんしょくがっこう)から発展した施設で、国の登録有形文化財に指定されています。

また、レトロな雰囲気が漂う昭和につくられた工場も見逃せません。工場の屋根には、北向きの窓が設置され、場内の作業に適した柔らかく安定した光を取り入れる工夫がなされています。ギザギザにした「ノコギリ屋根」という独特な屋根の形は、機械の音を乱反射させてやわらげているのです。

桐生市街地と今も残る織物に関する建物

現在でも市内には「桐生新町重要伝統的建造物群保存地区」を中心として、織物関係の建物や工場などが点在。カフェや美容室として使われている建物もあります。

桐生は織物の街として発展を続けている

国により、昭和52(1977)年には「伝統的工芸品」として指定を受けた「桐生織」。今なお 7つの製織技法で、技術の研鑽と伝承を続けています。

桐生の市内製造業の約半分は「糸へん」関係の仕事。繊維製品をつくるには多くの工程が必要ですが、細かい工程を担う工場や職人が集積しており、素材から製品まですべての製造工程を完結することができます。

桐生は繊維の複合集積産地として、独自の発展を遂げ続けているのです。

今も世界で愛される桐生の製品

株式会社松井ニット技研は、ニューヨークの世界的な美術館のミュージアムショップで、5年連続スカーフ部門の売上数量1位を獲得。

また、スペインのプラド美術館所蔵画をイメージしたマフラーを同館で販売。「スペインの優れた文化と日本の匠の技の融合」と高い評価を受けました。

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Part.2 群馬を駆ける充実の交通網

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Part.4 群馬で育まれた文化や産業

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コラム

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・吉田初三郎が描いた群馬の鳥瞰図
・上毛かるたにも登場する 群馬が誇る、ゆかりのある偉人
・まだまだある、群馬が誇る日本一! 群馬で見つけた日本で一番〇〇なもの

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