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中央構造線が長野県付近で大きく湾曲している理由

まだ日本列島が大陸の一部だった約1億年前、当時の海洋プレート(イザナギプレート)が大陸に対して斜めに沈み込んでいたため、ひずみがたまって大陸プレートの中に大きな断層(北北東-南南西方向)が生じました。これが中央構造線の原型となります。

約2000万~1500万年前、地殻変動にともない日本海が形成されると、大陸から分離した日本列島が回転しながら南下、中央構造線の向きは東西方向になりました。同じ頃、フィリピン海プレートが北上してきて伊豆・小笠原弧と衝突しました。中央構造線が長野県付近で大きく湾曲しているのは、この衝突によるものです。

中央構造線は「地質の境目」! 北側と南側それぞれの地質の特徴

中央構造線の北側(日本海側)を内帯(ないたい)、南側(太平洋側)を外帯(がいたい)と呼びます。線に沿って形成年代やメカニズムがまったく異なるふたつの地層が隣り合っており、地質を二分する「地質の境目」にもなっています。

内帯側には白亜紀中期(約1億~7000万年前)に、大陸プレートに付加(ふか)した(くっついた)海洋プレートが大陸プレートの下へ沈み込み、熱と圧力で再結晶した高温低圧型の広域変成岩と、そこに貫入した花崗岩からなる岩体が中央構造線に沿って続いています。これを領家変成帯(りょうけへんせいたい)といいます。なお、中央構造線近傍の領家変成岩類は断層運動による力を受け、マイロナイト(大鹿村の地名を冠して鹿塩(かしお)マイロナイトとも呼びます)という岩石に変化しています。

他方の外帯側には、白亜紀後期(約9000万~6000万年前)にできた低温高圧型の三波川(さんばがわ)変成帯が、幅30㎞、東西800㎞にわたって帯状に分布しています。

長野で中央構造線が直接観察できる露頭スポット

領家帯と三波川帯は、ともに地下15~40㎞という地中深いところにありましたが、現在は地表に現れています。

そして、長野県内では国道152号沿いを中心に、領家変成帯と三波川変成帯が隣り合う様子が目で見てとれる露頭がいくつもあります。代表的なのものに板山露頭溝口露頭北川露頭安康(あんこう)露頭程野(ほどの)露頭があります。

大鹿村には小渋川の河岸、中央構造線のほぼ真上に建つ大鹿村中央構造線博物館があり、中央構造線についてよりくわしく学ぶことができます。

中央構造線が直接見られる場所として、長野県内には伊那市の板山・溝口露頭、大鹿村の北川・安康露頭、飯田市の程野露頭などがあります。分杭峠は伊那市と大鹿村の境にある国道152号(秋葉街道)の峠です。

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長野県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。長野の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報満載!

Part.1 地図で読み解く長野の大地

・地形・地質総論「東西から圧縮されている長野」
・伊那山地と南アルプスを縦貫!日本最大の断層・中央構造線
・大地溝帯フォッサマグナとかつて信州が海だった証
・火山活動の歴史を物語る山容 八ヶ岳連峰の南北で大きな違い
・北アルプス唯一の活火山!焼岳の噴火と上高地盆地の形成
・天竜川と断層で形成された伊那谷の日本一の河岸段丘
・野尻湖のナウマンゾウ化石に旧石器人の生活が見える?
・千曲川沿いの段丘上に築かれ、急崖と川が守る上田城のすごさ

などなど長野のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 長野を駆け抜ける鉄道網

・高崎~長野の長野新幹線に始まり敦賀への延伸を目指す北陸新幹線
・66.7パーミルの勾配路線だった信越本線碓氷峠とは?
・東京と名古屋を結ぶ大幹線で山岳地帯を駆け抜ける中央本線
・明治期に開通し善光寺平と松本盆地を結ぶ篠ノ井線
・伊那谷やアルプスを望み旧型国電も走った飯田線
・県内最大の路線網を誇った、私鉄・長野電鉄の変遷
・別所温泉に向かう温泉電車、上田電鉄別所線の魅力

などなど長野ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 長野で動いた歴史の瞬間

・縄文遺跡の宝庫・信州は日本一の人口密度だった!?
・信濃の国は有数の馬産地! 都に名を馳せた望月の駒とは?
・弓馬に長けた信濃武士が源氏配下として平氏討伐
・信州の南北戦争と呼ばれる大塔合戦はどうして起きた?
・甲斐武田信玄vs越後の上杉謙信、二大英雄が激戦を演じた川中島
・流転した善光寺の本尊は天下人の元に安置された?
・松本の貞亨騒動や上田の宝暦騒動 信州で百姓一揆が続発したわけ
・松本城が直面した取り壊し危機 救ったのは松本の住民だった!

などなど、激動の長野の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 長野で育まれた産業や文化

・江戸時代に整備された用水路 五郎兵衛用水路とは?
・信州の気候風土を生かした寒冷地農業のここがすごい!
・蚕糸王国として栄えた長野県が電気機械工業県に変貌したわけ
・明治期の外国人別荘に始まる軽井沢エリアのリゾート化
・洪水を繰り返してきた暴れ川、千曲川を巡る治水事業の全容
・日本三大奇祭に数えられる、諏訪大社の御柱祭の本質とは!?

などなど長野の発展の歩みをたどる。

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