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ビカリアとはどんな生き物だったのか?

ビカリアとは、長さ10cm程度の円錐(えんすい)形マキガイで、殻にいくつかの太いトゲがあるのが特徴です。新生代新第三紀(約2300万~250万年前)の中新世に、世界中の熱帯~亜熱帯の河口と海が交わる汽水域に生息していました。ウミニナの仲間で、現在は絶滅しています。

ビカリアなどの化石から推測される当時の気候と環境

ビカリア化石は中新世の示準(しじゅん)化石とされており、約1600万~1500万年前ごろに堆積した地層だけに見られることが分かっています。また、ビカリアの化石が出た場所からは、マングローブシジミの化石やマングローブの花粉化石も見つかっています。そのため、当時の奈義町周辺では、マングローブの生い茂る干潟に、多くの貝類やカニなどが棲んでいたのではないかと考えられています。気候も含めると、現在のフィリピンに近いような環境だったのかもしれません。

示準化石とは?

「示準化石(しじゅんかせき)」とは、その化石を含む地層が堆積した時代の推定に役立つ化石のことです。そのため、示準化石として用いられる生物は、 短い期間に広い範囲で栄えていたことが条件になります。

ビカリアなどの化石や地質が証明する海時代

ビカリアをはじめとする貝化石は、岡山県内の多くの箇所で発見されていますが、津山盆地東部に分布する勝田層群と呼ばれている地層に特に集中しています。これは海成層が主体の地層で、約1600万年前の海進によってこの付近に生まれた、津山海という内海に堆積したものであることが分かっています。この海は今の瀬戸内海に似ていたと考えられています。内湾の泥は後に泥岩になり、潮流に洗われた砂は砂岩になりました。
ビカリアは当時干潟だった地層から多く産出しています。勝田層群の分布場所は現在の海岸線から遠く離れており、現在の津山・新見(にいみ)・有漢(うかん)・賀陽(かよう)辺りのかなり内陸まで海進し、遠浅の海が広がっていたことを示しています。サメの歯の化石も時々見つかることがありますが、これはエサを求めて満潮時に浅瀬まで上がってきていたのだろうと推測されています。産出される化石や地質を詳しく調べることにより、その場所のはるか昔の姿が見えてきます。

薄い水色の部分は約1600万年前には海だったと考えられています。岡山県は広く海に覆われており、いくつかの島がある、現在の瀬戸内海のような地形だったと推定されています。
国土地理院薄色地図を元に作成

ビカリアを中心に多くの化石を保存展示する「なぎビカリアミュージアム」

奈義町では、現在でも多くの化石が発掘されています。「なぎビカリアミュージアム」では、当時の環境が分かる露頭の保存展示や実際の化石の発掘体験などができ、太古の昔に思いを馳せることができます。

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Part.1 地図で読み解く岡山の大地

・瀬戸内海はどうやってできた?岡山県の成り立ち
・美作はなぜ西日本有数の温泉地なのか
・岡山県指定天然記念物井倉洞はどうやってできた?
・山から貝の化石がとれる不思議
・その大きさは世界2位! 児島湖はなぜ造られたのか?
・「晴れの国岡山」は「天文王国おかやま」だった!
・笠岡市がカブトガニ有数の生息地になった理由

…などなど岡山のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岡山を走る充実の交通網

・瀬戸大橋が鉄道と併用できた理由
・西日本唯一の臨海鉄道線「水島臨海鉄道」の変遷を知る
・わずか16年で廃線になった、幻の三蟠鉄道
・津山扇形機関車庫から見る、岡山県の鉄道の歴史
・山陽新幹線は岡山発が多い?交通の要所・岡山駅のスゴさ
・日本で最も短い路面電車が地元で愛される理由

…などなど岡山ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 岡山で動いた歴史の瞬間

・伝説の城「鬼ノ城」は古代日本の防衛ラインだった
・巨大古墳群からひもとく吉備国と大和朝廷の関係
・戦国大名・宇喜多直家は、邑久郡の小領主だった
・難攻不落の備中高松城を、血を流さずに攻め落とせ!
・宇喜多秀家が基礎を築き池田家が整備した城下町
・岡山藩藩主の憩いの場として築かれた大庭園・後楽園

…などなど、激動の岡山の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 岡山で生まれた産業や文化

・古墳時代から受け継がれる備前焼
・岡山県の名産品・白桃は、なぜこんなにおいしいのか?
・蒜山原野の開拓とジャージー牛導入の歴史
・養蚕・イグサ・綿・デニム…。岡山が誇る繊維業
・瀬戸内工業地域・水島コンビナートの誕生秘話
・倉敷市が一大観光地に成長した理由
・刀工集団・長船派は、どのようにして生まれたのか

…などなど岡山の発展の歩みをたどる。

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