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魚津埋没林は2000年前に形成された~温暖化による海面上昇の証明~ 写真:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年5月31日

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魚津埋没林は2000年前に形成された~温暖化による海面上昇の証明~

昭和初期、魚津港工事の際に発見された埋没林。海中に埋もれたままの状態で、現在も保存されています。この森林はどのように沈んだのか?また、神秘的な姿が伝えてくるものとは?

魚津埋没林とは?

魚津には、蜃気楼に匹敵するほど神秘的な埋没林と呼ばれる天然記念物があります。文字どおり“埋もれた林”のことで、森林全体が地中や水中に埋没して残存したものを指します。

魚津埋没林はどうやって見つかった?

埋没林は日本だけでなく世界各地で見つかっていますが、魚津の埋没林は昭和5(1930)年に地中から発見されました。魚津港の修築工事が開始され、標高0m以下の地中から、樹齢数百年と見られる樹根が200~300株出土。樹根の多くはスギで、大きなものは直径4m、周囲12mにも及び、注目を集めました。

魚津埋没林は温暖化にともなう海面上昇の証

発見当時、この埋没林は日本海側の地盤沈降の証拠と考えられており、1万年~5000年前の地盤沈下により水没したものであるといわれていました。しかし、その後の研究によって縄文時代後期の土器片が樹根の間から採集され、この土器の推定年代が紀元前1000年頃と判明。埋没林は約2000年~1500年前の温暖化にともなう海面の上昇で、海岸近くの森が水没し、その上を片貝川(かたかいがわ:魚津市を流れる二級河川)の洪水などで流れ出た土砂が覆って形成されたというのが現在の見方です。

魚津埋没林が腐食を免れた理由

長い間海岸の地中に埋もれていた林と聞くと、とっくに腐っていそうなものですが、不思議なことに、魚津の埋没林は地底に眠った姿のまま腐っていません。まず要因としては、根が地中に埋もれて密閉状態になったことが挙げられます。これによって、腐敗をもたらす菌への酸素供給が絶たれることになりました。さらに、木を腐らせやすいアルカリ性の海水も、湧水によって遮断され、樹根に届くことがありません。入善町(にゅうぜんまち)吉原沖にある推定約8000年前の海底林も、海底の湧水地点を中心に残存しているため、木の保存と湧水が深い関係にあることが分かります。こういった条件が重なり、魚津の埋没林は腐食を免れたのです。

魚津埋没林が展示されている魚津埋没林博物館

魚津埋没林博物館の水中展示室では、埋没林が埋まっていた状態の位置と姿で保存されています。つまり、この展示室は海中につくられたものです。周囲の土は取り除かれており、展示プール内には地下120mから掘った地下水を供給しています。長い歴史が宿る樹根は威圧的なほどの存在感。魚津埋没林と検索すると、関連ワードに「怖い」と出てくるのも頷ける迫力で、自然の畏怖を突き付けてくる。

埋没林だけでなく、蜃気楼に関する展示もあります。

魚津埋没林は特別天然記念物に指定

魚津埋没林は、埋もれている樹根そのものはもちろん、それを含む土地6150㎡が特別天然記念物の指定対象。その指定地は魚津埋没林博物館の敷地に含まれており、館内に展示されているもの以外に、博物館敷地の地下にはまだまだ埋没林が眠っていると考えられています。

魚津埋没林博物館

住所
富山県魚津市釈迦堂814
交通
あいの風とやま鉄道魚津駅から魚津市民バス市街地巡回ルート東回りで8分、魚津港前(埋没林博物館口)下車すぐ
料金
高校生以上640円、小・中学生260円(障がい者は半額、団体割引あり、年間パスポートあり、水族館共通券あり)

魚津埋没林だけじゃない! 自然の神秘あふれる南又谷の洞杉

魚津は神秘に事欠かない町です。蜃気楼や埋没林ほどの知名度はありませんが、片貝川上流の山間部・南又谷には、標高500~700mの地点に100本以上のスギの巨木が生育する群生林があります。スギといえば、どちらかといえば細長い幹のイメージですが、南又谷のスギは複数の湾曲した巨大な幹が根差しており、その姿は異形ともいえます。幹の内部が空洞になっているものが多いことから、「洞杉」の名前がつきました。さらに、スギの多くが巨大な岩の上に乗るような形で生育しており、ほかでは見られない独特の光景を生み出しています。過去の調査で確認されているのは、大小合わせて124本。人が近づけない場所を含めれば、それ以上の数が生育しているとされ、樹齢は古いもので1000年、若いものでも数百年と考えられています。

環境省がおこなった巨樹・巨木調査の結果

環境省が平成11・12年におこなった巨樹・巨木調査では、洞杉は主幹の幹周が1560㎝あることが確認されました。この数字は、樹種別の巨木「杉単体」部門において、新潟県の将軍杉(1931㎝)、鹿児島県の縄文杉(1610㎝)に次いで3番目となります。埋没林同様に、神秘的な樹木の姿に息をのむ景観です。

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・黒部ダムが大電源を生み出すまで
・崩壊を続ける立山カルデラ
・極東の氷河の南限は立山! 国内初の氷河認定とライチョウ
・神秘の光景! 魚津の蜃気楼と雨晴海岸の気嵐
・2000年前に形成された魚津埋没林
・富山の水がおいしいヒミツ
・立山の地下には「何か」がある! 活断層はあるのに地震が少ない理由
・富山湾のホタルイカはなぜ有名?

…など

Part.2 富山を駆ける充実の交通網

・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
・SDGs未来都市に選定 ライトレールが象徴するまちづくり
・伏木港は神戸港に憧れた男の夢
・立山の観光ルートは1つじゃない? 一般開放が待ち遠しい黒部ルート
・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
・鉄オタ集結地! 富山県は公共交通の宝庫
・V字峡谷を走るトロッコ電車

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・富山県成立までの複雑な歴史/越中の英雄・佐々成政の人物像
・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
・越中の伊能忠敬 射水出身の測量家・石黒信由
・越中の黄金郷 加賀藩極秘の「越中の七かね山」
・北陸近代医療の父・黒川良安
・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり

…など

Part.4 富山で育まれた文化や産業

・「越中おわら節」はなぜ有名?
・財政難を立て直した富山の売薬
・布教のためのテキストだった 曼荼羅から読み解く立山信仰
・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
・売薬商人は危ない橋を渡っていた? 薬の密貿易が生んだ昆布文化
・有名な創業者も多く輩出 富山県民は倹約家で働き者
・ジャポニズムの立役者・林忠正
・アニメの聖地が多い富山県
・瑞泉寺再建から始まった井波彫刻

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