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【岩手の伝統芸能①】鹿踊り(ししおどり)

鹿踊りは東北一帯に伝わる伝統芸能で、二戸(にのへ)、久慈(くじ)といった岩手県北地域から、南は一関まで岩手全土で見ることができます

起源は、仕留めた鹿の供養説、山で踊っている鹿の遊戯模倣(ゆうぎもほう)説、春日大社(かすがたいしゃ)への奉納起源説などいくつかありますが、はっきりとはわかっていません。

ただ、鹿は古来より神の使いとも考えられており、山とともに暮らした当時の人々の自然への信仰心と大いに関係があるようです。

岩手県内のおもな鹿踊り

岩手県内のおもな鹿踊り

北から南まで広がる鹿踊り継承地域。北部は太鼓踊系、南部は幕踊系で、とくに県央、県南に分布しています。

鹿踊りの特徴

鹿を模した頭(鹿頭)を載せ、小さな太鼓を携えて舞う鹿踊りは、2〜3人で1頭の獅子を演じる獅子舞と違い、ひとりが1頭の鹿を舞うのが特徴です。

このような鹿を3頭一組で舞いますが、岩手県南部では8〜9頭一組の場合も多いです。岩手県南の一部はかつて仙台領(伊達藩)だったことから、隣接した宮城県の流れを汲んだものと考えられています。

鹿踊りは2系統ある

鹿踊りには大きく太鼓踊(たいこおどり)系と幕踊(まくおどり)系の2系統あります。

太鼓踊系ではそれぞれが身につけた太鼓を打ち鳴らして勇壮な舞を披露します。もうひとつの幕踊系では踊り手は太鼓を鳴らさずに、別の奏者が祭囃子(まつりばやし)を演奏します。

太鼓踊系は岩手県北から県央付近に伝えられており、幕踊系は県南で見られることから、かつての南部藩と伊達藩の特徴がそれぞれ色濃く伝承されてきたことがわかります。

鹿踊りの衣装

また、鹿踊りはその衣装も独特で、頭部に鹿の角が生えていますが、それとは別に長い角のようなものを纏っています。これは「ササラ」と呼ばれる装束で、舞の最中、ササラはしなやかにしなり、揺れ、時にはぶつかり合います。

美しくも、時に激しく躍動する鹿の踊りは、人々を魅了してやみません。

【岩手の伝統芸能②】剣舞(けんぶ)

岩手の伝統芸能による舞は、もうひとつ「剣舞」も独特です。剣舞は北上周辺では「鬼剣舞(おにけんばい)」とも呼ばれ、恐ろしい形相の面を被り、剣を振るいながら勇猛な踊りを披露します。

剣舞は念仏踊りが起源とされ、仏に祈願する意味合いの強い踊りです。仏の化身を表現しているので、面は鬼のように見えますが角はありません。昔は踊り手は男性だけでしたが、近年は女性の踊り手も増えているといいます。

剣舞には多くの系譜があり、それぞれの地域で伝えられてきた舞を現在でも大切に継承・保存しています。

【岩手の伝統芸能③】早池峰神楽(はやちねかぐら)

神への奉納のための神事として全国に存在する神楽も、岩手には各地に残っています。なかでも花巻の早池峰神楽は、重要無形民俗文化財に指定されており、2009(平成21)年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

500年以上の歴史をもつとされる早池峰神楽は、山で修行した山伏たちの祈禱が起源ともいわれ、山岳信仰の奥深さを感じられます。

【岩手の伝統芸能④】田植え踊り

歳事に目を向けると、米どころ岩手にふさわしく、田植え踊りは岩手県央、県南地域で広く伝承されてきました。

小正月の頃に、村の若い男女たちが口上を述べながら軒先をまわり、田植え歌を歌いながら踊り、豊作を占い、祈願したといいます。踊りは田植えから収穫までの農作業の様子を模したもので、当時の農作業の姿がしのばれます。

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Part.1 地図で読み解く岩手の大地

・盛岡のまちを見守る名峰 岩手山はどうやってできた?
・宮沢賢治が名付けた理想の地? イーハトーヴの風景地とは
・三陸海岸のうち南部だけが リアス海岸になっている理由
・三陸沖で多発する地震と 津波発生のメカニズムを探る
・平泉の黄金文化を支えた 玉山金山はどこがすごい?
・カルスト台地に刻まれた猊鼻渓と 幽玄洞は古生代の化石の宝庫!
・ティラノサウルス類化石も発見! 国内最大の琥珀産地・久慈

などなど岩手のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岩手を駆け抜ける鉄道網

・軌道から車両まで対策は万全! 積雪地帯を快走する東北新幹線
・一ノ関以北で客車が走り続けた 大幹線・東北本線の歴史と実力
・急勾配を克服する物流の幹線 IGRいわて銀河鉄道がすごい!
・『銀河鉄道の夜』の原風景を走る岩手軽便鉄道に始まった釜石線
・三陸縦貫鉄道を引き継ぎ誕生! 沿岸部を走る三陸鉄道リアス線
・龍ヶ森の急勾配を越えろ! 奥羽山脈を横断する花輪線

などなど岩手ならではの交通事情を網羅。

Part.3 岩手で動いた歴史の瞬間

・人々が定住し集落が生まれ 南北それぞれの文化が発達
・胆沢平野を中心に米作が進み 強大な権力も生まれる
・蝦夷のリーダー・アテルイと ヤマト王権の熾烈な争い
・安部氏から奥州藤原氏 やがて群雄割拠の戦乱へ
・前九年・後三年の役が終結し 花開いた黄金の平泉文化
・大崎氏と斯波氏の時代を経て 南部氏と伊達氏が台頭
・戊辰戦争での敗北から 紆余曲折ののち岩手県が成立

などなど、激動の岩手の歴史に興味を惹きつける。

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