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【富山の県民性①】持家比率全国トップクラス

持ち家比率や住宅敷地面積は、全国ランキングでも常にトップクラス。大事な家族と一緒に暮らすための大きな家をもつ、というのは富山県民にとって当たり前のことであり、賃貸などに住んでいると不可解な顔をされることも珍しくありません。家を持つために蓄財を心掛けると、自然と倹約家にならざるを得ないのでしょう。

【富山の県民性②】浄土真宗信者が多い

浄土真宗が与えた影響も大きいでしょう。射水市に親鸞会館があることからも分かるように、富山県は特に浄土真宗が流行した土地です。日々一生懸命働けば極楽浄土へ行けるという教えは人々に浸透し、働き者の多さに繋がりました。江戸時代に入り、加賀藩の支藩として富山藩が成立してからはその傾向がより顕著に。

【富山の県民性③】無駄を嫌う合理主義

売薬が始まったきっかけでもある富山藩の財政難のせいで、民衆は藩からの搾取を余儀なくされました。神通川による水害のために農業もうまくいかず、衣食住から娯楽に至るまで領民は厳しい制限を受け、質素倹約を強いられたとされます。

無駄を嫌うためか、合理主義といった面もあります。仕事とは無関係な付き合いはあまり好まず、仕事中に喫茶店などで油を売ることもしません。そんな時間があるなら、仕事に充てようというわけです。共働き率や1カ月間の実収入ランキングなどでやはり上位にランクインするのもそのためでしょう。

富山県民の合理主義:公立高校は修学旅行がない?!

この合理主義は大人の世界だけではなく、子どもたちへの教育面にも影響しています。なんと富山県下の公立高校では、修学旅行のない学校が大半。理由はずばり勉強時間が減るからということで、富山県の合理主義は実に徹底されているのです。

富山の県民性から輩出された創業者、安田善次郎と浅野総一郎

しかし、この考え方のためか、有名な創業者を多く輩出していることも事実です。富山市出身の実業家・安田善次郎(やすだぜんじろう)は、渋沢栄一らと共に国立銀行の設立に尽力し、「元祖銀行王」と呼ばれた人物。三井・三菱・住友と共に4大財閥に数えられる安田財閥の創設者でもあり、曾孫にはあのオノ・ヨーコがいます。

名だたる企業の創設者だけでもこれだけの人物が輩出。売薬で培われた積極的な行動力と、水害が多かった土地ゆえの粘り強さを持ち合わせているといわれています。

安田善次郎と浅野総一郎の関係

さらに、この安田財閥の発展に欠かせないのが、現在の氷見市に生まれた浅野総一郎です。若い頃に立ち上げた事業では失敗続きでしたが、多くの借金を抱えて逃げた先の東京では砂糖水売りから再度奮起し、渋沢栄一や安田善次郎らの後ろ盾を得て浅野財閥と呼ばれるまでの地位を獲得しました。安田善次郎とは互いによき理解者かつ同郷の友であり、まるで浅野財閥が安田財閥の傘下であるかのように、安田善次郎は浅野総一郎への支援を惜しみませんでした。同時に、浅野財閥は安田財閥の産業部門的な役割を果たしており、互いに発展をもたらしました。ほかにも、ホテルニューオータニの創始者・大谷米太郎、博報堂の創始者・瀬木博尚も富山県出身者です。

富山の県民性が現れる高い貯蓄率

これだけの創業者を輩出した富山県というだけあって、貯蓄率は高く、2020年の家計調査における貯蓄率は全国1位でした。倹約を心掛ける富山の県民性はこういった結果に結びついていますが、ここぞというときの投資は厭わないというのもまた富山の県民性です。特に冠婚葬祭には支出を惜しまず、結婚式の引き出物が他県よりも高額となりやすいのです。さらに、結婚と同時に家を建て始める場合が多く、「家を建てたら一人前」という考え方が根強いようです。こういったことが全国でも高い持ち家率に繋がっているのでしょう。「生活ガイド.com」が実施した「全国住み続けたい街ランキング2020」では、富山県富山市が堂々の1位を獲得。居住環境や節目の家族イベントへの投資を惜しまないといった気風も、暮らしやすい要因の1つなのかもしれません。

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Part.1 地図で読み解く富山の大地

・立山連峰との高低差4000m!「きときと」ぞろいの富山湾
・黒部ダムが大電源を生み出すまで
・崩壊を続ける立山カルデラ
・極東の氷河の南限は立山! 国内初の氷河認定とライチョウ
・神秘の光景! 魚津の蜃気楼と雨晴海岸の気嵐
・2000年前に形成された魚津埋没林
・富山の水がおいしいヒミツ
・立山の地下には「何か」がある! 活断層はあるのに地震が少ない理由
・富山湾のホタルイカはなぜ有名?

…など

Part.2 富山を駆ける充実の交通網

・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
・SDGs未来都市に選定 ライトレールが象徴するまちづくり
・伏木港は神戸港に憧れた男の夢
・立山の観光ルートは1つじゃない? 一般開放が待ち遠しい黒部ルート
・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
・鉄オタ集結地! 富山県は公共交通の宝庫
・V字峡谷を走るトロッコ電車

…など

Part.3 富山の歴史を深読み!

・江戸時代は鮎だった! 駅販売で広がったます寿し
・富山県成立までの複雑な歴史/越中の英雄・佐々成政の人物像
・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
・越中の伊能忠敬 射水出身の測量家・石黒信由
・越中の黄金郷 加賀藩極秘の「越中の七かね山」
・北陸近代医療の父・黒川良安
・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり

…など

Part.4 富山で育まれた文化や産業

・「越中おわら節」はなぜ有名?
・財政難を立て直した富山の売薬
・布教のためのテキストだった 曼荼羅から読み解く立山信仰
・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
・売薬商人は危ない橋を渡っていた? 薬の密貿易が生んだ昆布文化
・有名な創業者も多く輩出 富山県民は倹約家で働き者
・ジャポニズムの立役者・林忠正
・アニメの聖地が多い富山県
・瑞泉寺再建から始まった井波彫刻

…など

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