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秋田杉が注目された安土桃山時代

歴史上、秋田の杉が注目されたのは安土桃山時代。豊臣秀吉が造船や伏見築城の際、長尺・大径の天然秋田杉を気に入り、献上させました。

秋田杉は県北部の米代川(よねしろがわ)や雄物川(おものがわ)流域を中心に、男鹿(おが)半島などに分布。運搬は筏で米代川からは能代(のしろ)、雄物川からは土崎湊(現・秋田港)へ運び、船で福井県敦賀市や小浜(おばま)市へ。さらに陸路を経て琵琶湖を渡り京都方面へ、というルートで、交易の拠点となった能代や土崎は大いに栄えました。

秋田杉の需要は江戸時代に増大

江戸時代に入ると、久保田藩の城下町の建設や農業土木などに使われたほか、幕府への上納や畿内での販売もあり、需要は増大。久保田藩家老の渋江政光(しぶえまさみつ)は「国の宝は山なり」と山林立国を唱え、杉は藩の財政を潤しました

秋田の杉の声価が高まり、手近な山が伐りつくされると、藩は杉の保護を目指し、林政改革を3度実施。そのひとつが「秋田杉の父」と称される賀藤景林(かとうかげしげ)による文化年間(1804〜18年)の改革で、農民の伐採を禁じる御留山(おとめやま)を増やすとともに、木材とその製品を専売制にしました。他方、成長した木の7割(従来は5割)を農民に与える三公七民により、約250万本もの植林に成功したといわれています。

秋田杉は林業の近代化によって全国へ

明治時代には、能代市で「秋田木材」を創業した井坂直幹(いさかなおもと)が林産業の近代化に尽力。全国に支店を広げ、能代は「木都(もくと)」と呼ばれました。

1937(昭和12)年に能代に建造された天然秋田杉の御殿「旧料亭金勇(かねゆう)」の建物は、木都の栄華を今に伝えています。

秋田杉は軍需用材として重宝された時代もある

昭和初期には日中戦争・太平洋戦争と続き、秋田の杉は軍需用材として伐採を重ねました。戦後は復興材などの需要が増大し、木材価格が高騰。製材業と樽丸業は秋田県の基幹産業となります。

1957(昭和32)年、高度経済成長期の旺盛な需要を背景に、国は天然秋田杉を20年間で皆伐し、成長の早い人工林に移行する「国有林生産力増強計画」を策定。のちに見直され、出材量を漸減しつつ2012(平成24年)までで計画伐採を終えました。

秋田杉は軍需用材として重宝された時代もある
森林管理局のHPなど各種資料を元に作成

天然秋田杉は米代川流域の中・下流部や雄物川流域を中心に、男鹿半島や秋田市仁別、森吉山、鳥海山などに分布。

日本最高峰の伝統と技術を誇る「大曲の花火」

大曲(おおまがり)地域で全国の花火師が腕を競う「全国花火競技大会」は約100年の歴史をもち、毎年約70万人の観客でにぎわいます。

舞台の大仙(だいせん)市は日本屈指の製造・打ち上げ技術を誇る花火産地で、職人技が詰まった「大曲の花火」は藩政時代からの伝統を継ぐ工芸品です。

市は花火が軸の産業構想の下、花火玉の原料の炭に品質が不安定な輸入品が多いことから、秋田の豊かな農林資源の活用を模索。2017(平成29)年度に県内産アカマツを使ったマツ炭製造に着手しました。

現在は従来の花火玉とともに、原料まで「メイドイン大仙」の花火玉が夜空を彩っているのです。

日本最高峰の伝統と技術を誇る「大曲の花火」

県指定の伝統的工芸品「大曲の花火」。毎年8月の「全国花火競技大会」ほか、大仙市内で毎月打ち上げられます。

全国花火競技大会「大曲の花火」

住所
秋田県大仙市雄物川河川敷
交通
JR秋田新幹線大曲駅から徒歩30分
料金
要問合せ

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から秋田県を分析!

秋田県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。秋田の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く秋田の大地

・秋田県の地形総論
・火山の痕跡や地殻変動を体感!男鹿半島ぐるり1周ジオ巡り
・世界最大の二重カルデラ湖「十和田湖」はどうやって生まれた?
・地下にかつての雄物川の流路!? 秋田平野が形成の驚きのしくみ
・黒川や雄物川流域に油田続々!秋田ではどうして油が採れる!?
・ブナ林が発達し海成段丘が縁取る 起伏が激しい白神山地の形成史
・美しき田園・象潟の九十九島は鳥海山の山体崩壊でできた
・大館・鷹巣・鹿角盆地と能代平野 米代川流域に形成された地形の謎

Part.2 秋田を駆ける充実の交通網

・全国2番目のミニ新幹線、E6系「こまち」が走る秋田新幹線
・一部レール幅を変えて新幹線もいく!福島~青森を結ぶ幹線・奥羽本線
・新津~秋田を結ぶ日本海側の動脈 寝台特急「日本海」も走った羽越本線
・米代川に沿って走る本州横断線 スイッチバックも見事な花輪線
・東能代~川部を結ぶ絶景ローカル線 「リゾートしらかみ」が走る五能線
・鷹巣と角館を結ぶ旧国鉄角館線 秋田内陸縦貫鉄道は見どころ満載!
・釜石~横手~本荘を結ぶ大計画も!? 由利高原鉄道鳥海山ろく線がすごい
・小坂鉱山の鉱石輸送のため開業 旅客輸送も担った幻の小坂鉄道/昭和40年代に消えたローカル私鉄 羽後交通の雄勝線・横荘線とは?

Part.3 秋田の歴史を深読み!

・秋田の古代史総論
・大型住居跡やストーン・サークルなど秋田県の縄文遺跡がおもしろい!
・出羽柵が遷置・整備されて秋田城と呼ばれるようになった
・奥羽を支配した出羽の豪族・清原氏が後三年の役により滅亡
・秋田の中世史総論
・八郎潟東岸を拠点とする大河兼任が鎌倉幕府に対して反乱を起こす
・秋田の近世史総論
・佐竹氏の入部以降、鉱山開発が進み鉱業が秋田藩の財政を支えた
・古来より栄えていた舟運に加え街道が整備され交易が盛んに!
・近現代史総論/奥羽越列藩同盟を離脱し新政府側へ 秋田藩の戊辰戦争と戦後のゆくえ
・日本最後の空襲となった土崎空襲 どうして土崎港が狙われたのか?

Part.4 秋田で育まれた産業や文化

・全国屈指の産油量だった秋田県がシェールオイルの開発・商業生産へ
・秋田港、船川港、能代港 三つの重要港湾が海上輸送網の拠点
・国内有数の米どころ・秋田県は農業産出額の5割以上を米が占める
・かつては国内2位の広さを誇る湖!? 八郎潟の干拓と大潟村の歴史
・古来より建材や工芸品に用いられた秋田杉の活用と保存の取り組み
・日本のロケット発祥の地は秋田県の道川海岸だった!
・地熱発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が加速
・県内各地で伝承されている民俗芸能 国指定重要無形民俗文化財は国内最多!

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