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「信玄堤」は武田信玄の治水事業の代表

その代表が「信玄堤(しんげんづつみ)」です。

の勢いを弱めるために川の流れを変え、次に川の中に石組みをつくりました。そして、釜無川・御勅使川の合流地点の下流に、1800m以上にわたる堤防を築いたのです。

当時、治水はハイテク技術で、その方法を知っていたのは武田信玄と工事計画者だけだったといわれます。

完成まで約20年。農民の生活を安定させた功績から「信玄堤」と名付けられました。400年以上経った今でも治水機能を果たしており、信玄の治水工法は日本の河川工学の祖となるほど優れたものなのです。

信玄堤の仕組み

信玄堤の仕組み
国土交通省甲府河川国道事務所『ふるさとの川を見てみよう!!』を元に作成

治水システムは御勅使川の流れの向きを「石積出し」で変えて「将棋頭」で2つに分けます。「堀切」と「十六石」で釜無川への新しい流れをつくり、「高岩」にぶつけて威力を弱め、「信玄堤」と「かすみ堤」で川に水を戻します。

「万力林」は水防の役割としてつくられた

富士川最大の支流・笛吹川の右岸にある「万力林(まんりきばやし)」も、信玄がつくったと言われています。

14万m²の敷地にアカマツが植えられ、間隔を取って不連続の堤防も築かれました。笛吹川が氾濫した際、密生している松の大木が流木や土砂の流入を防いで洪水を河道に戻し、水防の役割を果たします

当時の人々が「万人の力を合わせて堅固な堤防とする」という願いを込めて名付けました。

万力林の仕組み

万力林の仕組み
国土交通省甲府河川国道事務所『ふるさとの川を見てみよう!!』を元に作成

笛吹川の流れを「塔の山」にぶつけて勢いを弱めながら中心に向け、溢れた水を万力林の中でためて流出を防ぎます。「かすみ堤」で笛吹川に水を戻す二重の工夫を凝らし、万力林から水が溢れた際は「台地」でガードします。

「西の信玄堤、東の万力林」は今も甲府盆地を守る

こうした治水施設によって、笛吹川の流域はブドウやモモの生産地となり、山梨県が日本一を誇るワインの生産も支えています。

現在「万力林」は河川公園として整備され、山梨県のシンボルに。「西の信玄堤、東の万力林」と言われ、甲府盆地を守る重要な歴史的治水施設となっています。

「西の信玄堤、東の万力林」は今も甲府盆地を守る

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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