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岩木山の火山活動によって起こった岩屑なだれ

岩木火山の活動は、3つに分けられます。第1期は約30万~20万年前で、溶岩や火山砕屑物(さいせつぶつ)を繰り返し噴出し、富士山型の成層火山に成長しました。ところが約20万年前頃、この火山はたびたび上部から崩れ、大規模な岩屑(がんせつ)なだれを引き起こしました

岩木山の火山活動は古い時代から?

岩屑なだれは山麓まで流れ、高原やなだらかな斜面を形成していきました。なかでも、北東麓の十腰内(とこしない)や十面沢(とつらざわ)には岩屑なだれ堆積物が広範囲に分布しています。また、流れ下ってきた巨大な岩塊でできた「流れ山」と呼ばれる小山が数十個も点在しています。
この岩屑なだれ堆積物の年代は、約70万年前や約65万年前などの説もあり、岩木火山の活動がより古い時代から始まっていた可能性が指摘されています。

岩木山は火山活動を繰り返し現在の姿に近づいていく

第2期の約20万~1万年前には、山頂から山腹にかけて溶岩流が崩壊地を修復し、多数の溶岩ドームも形成されました。麓から8合目まで車で上がれる「津軽岩木スカイライン」は、この時期の溶岩流の上を通っています。
山頂付近の荒々しい火山地形が形成されたのは、1万年前以降、第3期の火山活動です。このときの火山噴出物は、津軽岩木スカイラインの終点である8合目より上部に分布しています。遠望しても確認できる岩木山山頂溶岩ドームや鳥海山溶岩ドームのほか、多数の溶岩ドームが形成され、爆発的噴火も起こったとされています。いずれも新しい時代の活動であるため、この一帯では溶岩ドームや爆裂火口などの明瞭な火山地形を目にすることができます。

岩木山の火山地形と歴史

山頂部には、直径約800mのカルデラがあり、鳥海山と巌鬼山はその外輪山。岩木山山頂溶岩ドームは、カルデラ内にできた中央火口丘で、約3000年前に形成されたとされます。山頂南東にある「種蒔苗代(たねまきなわしろ)」と呼ばれる池や、鳥ノ海火口は、第3期にできた噴火口。鳥ノ海火口は、江戸時代まで水蒸気噴火を起こしていました。津軽岩木スカイラインで8合目まで車で、さらにリフトで9合目まで上がれば、山頂まではコースタイム50分ほど。多様な火山地形を手軽に見ることができます。

岩木山の火山活動は今でも要監視対象

有史以降では、17〜19世紀に4回の噴火が記録されています。いずれも山頂近くの鳥ノ海火口付近からの水蒸気噴火だと推測されています。この鳥ノ海火口は、9合目のリフト駅から山頂へ向かう登山道沿いにあり、溶岩が露出した火口壁を間近に観察することができます。

岩木山の火山活動の現在

1863(文久3)年の噴火を最後に、明らかな噴火の記録はありませんが、1970(昭和45)年には東麓を震源とするマグニチュード4.6の地震が発生。その後も時折、群発地震が続いています。今も残る火山地形からもわかるように、激しく活動していた火山であることに留意しておく必要があります。現在、全国に50座ある気象庁常時観測火山のひとつに選定され、24時間の監視体制が続いています。

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Part.1 地図で読み解く青森の大地

・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち

・・・など

Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網

・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道

・・・など

Part.3 青森で動いた歴史の瞬間

・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく

・・・など

Part.4 青森で育まれた産業や文化

・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった

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