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藤原兼家、摂政への道:兄から疎まれた藤原兼家

円融(えんゆう)天皇の治世下では藤原兼通(ふじわらのかねみち)と藤原兼家(ふじわらのかねいえ)兄弟の摂関の座を巡る争いが激しさを増し、弟の藤原兼家を嫌った兼通は、従兄弟である藤原頼忠(よりただ)に関白の座を譲ってしまいました。
永観(えいかん)2年(984)、円融天皇が譲位し、花山(かざんざん)天皇が即位します。

疎まれてもあきらめない藤原兼家

関白の座から遠ざけられた藤原兼家でしたが、権力奪取の機会を窺っていました。なぜなら花山天皇の皇太子・懐仁(やすひと)親王は藤原兼家の孫だったからです。皇太子を1日も早く即位させたい藤原兼家は、天皇が寵愛する女御(にょうご)を失い落胆しているのを見て一計を案じます。

藤原兼家、摂政への道:念願の摂政になる

息子の道兼(みちかね)(天皇の側近)を介して天皇に出家を勧めたのです。道兼は自分も一緒に出家すると安心させて天皇を山科(やましな)の元慶寺(がんぎょうじ)へ連れ出し、出家させてしまいました。しかし当の道兼は天皇を裏切って出家せず、その間に神器も皇太子の下に移されて譲位が既成事実化されていきました。

こうして懐仁天皇が一条天皇として即位藤原兼家は念願の摂政となります。これを機に、摂政・関白は大臣を本官とする職ではなくなりました。太政大臣(だいじょうだいじん)が名誉職となる一方、摂関は藤原氏の氏長者と一体化したのです。

藤原兼家、摂政への道:藤原兼家の跡継ぎ

摂政(せっしょう)就任後、藤原兼家は息子らを強引に出世させました。とくに長男の道隆(みちたか)と三男の道兼(みちかね)は急速な出世が記録されています。
藤原兼家は正暦(しょうりゃく)元年(990)、関白を道隆に譲り、亡くなりました。

藤原兼家の跡を継いだ道隆の中関白家は、栄華を極めていましたが、その後道隆の死により転落の道を歩み始めていくことになります。

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第1章 天皇親政と藤原氏 天皇親政の影で、藤原四家の争いに決着がつく

〈どんな時代?〉天皇親政による政治改革が進むなか藤原四家の主導権争いが続いた時代
【蝦夷遠征】東北植民戦争は、坂上田村麻呂の勝利と徳政論争によって終焉を迎える
【最澄と空海の入唐】入唐留学したふたりの僧により密教が平安の都を鎮護する仏教になる
【伊予親王事件】平城天皇と藤原式家の思惑が一致か?天皇の異母弟が、謀反の噂だけで南家の有力者とともに排除される
【平城太上天皇の変(薬子の変)】朝廷の分裂解消とともに、藤原氏の権力闘争に終止符が打たれる

第2章 藤原氏の権力掌握 藤原氏によってライバル氏族が次々に排斥される

〈どんな時代?〉藤原氏が対抗勢力を次々に排除し、摂関政治の足場を固めた時代
【承和の変】皇太子を報奉じた謀反計画の発覚で、橘氏が没落し、藤原北家の権威が高まる
【応天門の変】朝堂院の正門炎上事件が藤原氏の躍進と伴氏の没落をもたらした
【阿衡の紛議】藤原氏の専横に不満を募らせる宇多天皇により菅原道真が抜擢される
【遣唐使の停止】菅原道真によって遣唐使の停止が建議され、260年の歴史に終止符が打たれる ほか

第3章 藤原摂関政治 権力を掌握した藤原氏が全盛期を迎える

〈どんな時代?〉対抗勢力をすべて排除した藤原氏内部で、氏長者を巡る熾烈な争いが展開された時代
【平忠常の乱】東国に割拠した平氏の反乱が、源氏の東国進出の契機となった
【末法の世】終末観が漂い、浄土思想が流行した平安後期、貴族も庶民も極楽往生を願っていた
【藤原氏全盛の終焉】外戚関係のない後三条天皇の即位とともに、藤原氏隆盛の時代が終わる
【荘園整理令】後三条天皇による延久の荘園整理令が朝廷の収入を大幅に回復させる ほか

第4章 院政と平氏政権 平清盛によって武家政権への道が開かれる

〈どんな時代?〉院政下で政界に進出した武家が政争に決着をつける原動力となり、主役となった時代
【奥州藤原氏の繁栄】奥州に支配を確立した藤原氏が平泉を中心に黄金文化を築く
【院政の始まり】摂関家の力が低下する一方で、上皇が政治の実権を掌握し、院庁が政治の中心となる
【平家の海賊退治】海賊と謀反人追討によって平家一門が徐々に勢力を伸ばす
【鳥羽上皇と宮中の争い】天皇家と摂関家の保元の乱へとつながる対立に、武家が動員される
【保元の乱】朝廷の政争に武士の軍事力が決着をつけ、その力を見せつける ほか

~コラム~
平安貴族の装束/平安貴族の1日/平安貴族の一生/平安貴族の隠居と死/平安貴族の喧嘩/平安武士の暮らし/平安京の人々の暮らし/平安京の怪異と呪い ほか

【監修者】繁田信一(しげた・しんいち)

1968年、東京都に生まれる。東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科博士後期課程修了。現在、神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員、東海大学文学部非常勤講師。専攻は歴史民俗資料学。 王朝時代の天皇、貴族、庶民の姿を活写する著書多数。『陰陽師と貴族社会』『呪いの都 平安京』『天皇たちの孤独』『かぐや姫の結婚』『紫式部の父親たち』『下級貴族の王朝時代』など。

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