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【かぐや姫の静岡でのお話①】富士山に帰っていくかぐや姫

静岡県東部、富士山南麓に伝わる竹取物語は、かぐや姫が月ではなく、富士山に帰っていくストーリーです。このあたりは古くから富士山信仰が根強く、富士山縁起(ふじさんえんぎ)と呼ばれる富士山にまつわる寺社の由来や伝説を綴った縁起書が残っています。その一つ、明治初年まで富士市内に存在した富士山東泉院に伝来した『富士山大縁起(ふじさんだいえんぎ)』には、次のような話があります。

かぐや姫は一人富士山に登り、山頂に着くと岩窟に入ります。それを聞き、かぐや姫を一目見ようと帝は都から駿河国へやってきて、竹取翁の案内で富士山に登り、かぐや姫との対面を果たします。二人はともに暮らすことを望み一緒に岩窟に入り、かぐや姫は富士山の神となるストーリーです。

【かぐや姫の静岡でのお話②】富士山に隠れたかぐや姫

また、白隠禅師が記した『無量寿禅寺草創記(むりょうじゅぜんじそうそうき)』では、かぐや姫は帝の求婚から逃れるために富士山頂に上り岩窟に隠れたと記され、かぐや姫は実は阿弥陀(あみだ)様であったとしており、結末のニュアンスはさまざまです。

かぐや姫の静岡でのお話と今も残る富士山信仰

美しい姫が富士山に登って消えてしまうこうした結末からは、かぐや姫が富士山そのものであり、聖なる山、ご神体と崇めていた人々の信仰心がうかがえます。その信仰は今も根強く残り、富士山周辺にはゆかりのある神社やスポットが点在しています。富士山かぐや姫ミュージアム(富士市)では、この物語の背景や歴史資料を映像やジオラマとともに見ることができます。

静岡竹取物語ゆかりの場所

静岡竹取物語ゆかりの場所

比奈の無量寿禅寺跡(現在の竹採公園)
竹採塚と呼ばれる塚があります。富士山麓の溶岩が積み重なって「竹採姫」と刻まれた卵形の石を支えていますが、他になにも記されていないため、いつ、誰が立てたものかは不明です。この南側には白隠禅師の墓があります。白隠の『無量寿禅寺草創記』にはここがかぐや姫が生まれ育った地と記されています。

滝川神社
「滝川の浅間さん」と呼ばれ親しまれていますが、江戸時代以前には「原田浅間社」や「新宮」、「父宮」と称されていました。かぐや姫の養父である竹取翁を祀っていたとされます。

今宮浅間神社
江戸時代以前は「母宮」と呼ばれていました。かぐや姫の養母の竹取嫗を祀っていたとされています。

寒竹浅間神社
言い伝えでは、かぐや姫を育てた老夫婦の屋敷があった場所とされています。寒竹とは、竹の品種の一つ。周辺は竹林に覆われており、かぐや姫の物語の舞台として想像するにふさわしいロケーションだったと考えられます。

飯森浅間神社
かぐや姫の世話をした召使いの女性が祀られていたと伝わる神社。かつては「飯守明神」と呼ばれていました。これは合戦のための食糧を源氏軍が置き、それを兵が守ったといわれています。

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Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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