200万年前、遠州一帯は海でした。浅い海で積み重なった砂や泥の地層は、その後の大地の変動で陸となり少しずつ削られ、なだらかな丘陵を作り出しました。

公園内に露われている「宇刈層」と呼ばれる地層では、生痕化石や、波がうねったような形で縞模様が交差する「ハンモック状斜交層理（じょうしゃこうそうり）」を観察することができます。宇刈層の下にあるのが「大日層」と呼ばれる砂岩層。こちらは宇刈層よりも浅い沿岸で堆積し、礫や貝化石を豊富に含んでおり、貝化石だけでも200種以上が発見されています。

大日層が分布するこの辺りは古くから多くの調査や研究がなされており、200万年前に西南日本の太平洋側に栄えた暖流域の動物群（掛川型動物群）の模式地として全国的に知られています。ちなみに大日層の名前は、この地域の大日地区に由来しています。

大日層で発見された貝化石には、ダイニチバイやヤグラモシオガイなどの熱帯－亜熱帯性種が含まれています。このことから、当時の遠州一帯の海が現在の台湾に相当するような亜熱帯だったことがわかっています。

また、貝化石のうち、既に絶滅した種も多く、その進化の過程も研究が進んでいます。貝化石のほかにも、海に流れ込んだ植物の種子、蟹やヒトデなどの小動物、魚や鮫、鯨といった海洋動物の化石も発見されています。

宇刈里山公園周辺は、当時の状況を知る貴重な化石の産地なのです。

「ツツジ」に「サンコウチョウ」など県の「花」や「鳥」があるように“県の石”があることをご存じでしょうか。これは2016年に日本地質学会が全国47都道府県から産出される特徴的な石を認定したもので、各都道府県で認定されています。

部門は3つに分かれており、静岡県の石は化石部門において宇刈里山公園で見ることができる「掛川層群大日層の貝化石群」、岩石部門では富士山宝永山火口の「赤岩」、鉱物部門では下田市河津高山の「自然テルル」が認定されています。

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