沖縄県鉄道は沖縄戦の戦火に散りひっそりと消滅
昭和初期になると道路の整備が進み、路線バスが充実するようになります。これに対抗し、沖縄県鉄道もガソリンカーを導入。さらに自前のバス路線も開業させました。
ですが、太平洋戦争に突入し、戦局が悪化すると沖縄県鉄道は軍用鉄道として供せられるようになります。1944（昭和19）年10月の那覇空襲では那覇駅が焼失し、翌、1945（昭和20）年3月に運行を停止します。米軍上陸後は施設が破壊され、そのまま終戦を迎えました。戦後にGHQ、沖縄民政府による鉄道の復旧計画も持ち上がりますが、道路整備に重点が置かれることになり、立ち消えとなりました。のちの朝鮮戦争勃発による鉄不足でレールや車両は取り集められ、沖縄県鉄道はひっそりと消滅したのです。
沖縄県鉄道消滅後、クルマ社会到来
沖縄の鉄道は、それから半世紀以上経ったゆいレールの開業まで空白となり、クルマ社会が到来します。そのなか、沖縄県鉄道の廃線跡はそこここに残り、鉄道が栄えたありし日をかろうじてしのぶことができます。
「沖縄鉄軌道」が計画される沖縄
現在、沖縄県は那覇～名護間を1時間で結ぶ「沖縄鉄軌道」を計画しています。小型鉄道、モノレール、AGT（自動案内軌条式旅客輸送システム）、HSST（磁気浮上式鉄道）、LRT（ライトレールトランジット）によるシステムが想定され、内閣府でもスマート・リニアメトロ、トラムトレインを想定した「沖縄縦貫鉄道計画」を検討中。実現すれば沖縄島の南北が鉄道で結ばれ、公共交通はめざましく充実することになるでしょう。
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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から沖縄県を分析！
沖縄県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。沖縄の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載！
Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島／新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ？
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは？
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ？
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは？…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは？
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生！
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか？
・全ての道は首里城に通じる？首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論／約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか？
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは？
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた！浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは？
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは？
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった？沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか？
・15世紀に伝わり戦火からも復活！沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり？沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
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