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山形の酒造りは大山杜氏によって発展

なかでも先述の大山地区では、江戸時代初期から本格的な酒造りが行われ、「大山杜氏(おおやまとうじ)」と呼ばれるすぐれた杜氏集団が生まれました。大山杜氏は宮城や秋田、福島にも赴いて日本酒造りの技能を伝えたといいます。日本の有名な杜氏集団には岩手の南部(なんぶ )杜氏、秋田の山内(さんない)杜氏がありますが、それらが生まれた素地に大山杜氏の存在があったのです。

山形の酒造りの中心となった大山地区とは?

もともと大山にはさまざまな分野の職人が多く、職人同士で情報や技術を共有する気風がありました。それがすぐれた杜氏集団の誕生に寄与したことは疑いありません。大山の水は鉄分が少なく日本酒づくりに適していたこと、大山川の水運が使えたことなどの地理的要因に加えて、大山が天領(幕府直轄領)であったことも、税制面や他藩との競争で有利にはたらきました。のちに大山が庄内藩領とされてその優位は消えますが、それを機に大山酒は全国へ販路を広げて最盛期を迎えます。

山形の酒造りのブランド化と背景

江戸時代、藩の大切な財源である米を原料とする日本酒造りは、厳しく規制・統制されていました。明治に入り、酒造りが免許制になると、俄然酒造業が盛り上がりを見せます。しかし、その後の酒税の引き上げや不景気によって酒造業は縮小。1970年代半ばをすぎると、焼酎やウイスキーなどに押されて日本酒の消費量は激減してしまいます。

山形は酒造りの地として一大ブランド産地に

そんななか、山形県は早々に日本酒の品質向上に取り組みます。1984(昭和59)年、農業と酒造業が連携して、純米吟醸酒に適した山形県オリジナルの酒米「出羽燦々(でわさんさん)」を開発。その後も多数の酒米を開発しました。

1987(昭和62)年には、山形県酒造組合が勉強会を立ち上げ、蔵元間での情報共有や品評を盛んに行いました。こうした取り組みの結果、2016(平成28)年、山形県は都道府県として初めてGI(地理的表示保護制度)の指定を受けます。山形県が日本酒の一大ブランド産地として認められたのでした。

そして現在、海外への日本酒輸出額は山形県が東北最大。フランス・シャンパーニュ地方のワインのように、日本酒といえば「山形」といわれる時代は近いでしょう。

戦時下の山形ワイン

果物産地の山形県ではワイン造りも盛ん。戦時中、軍から山形に大量のワインの注文があったほどです。目的は、ワイン製造過程でできる酒石酸(ロッシェル塩)。艦艇のスクリュー音を探知する集音器の材料でした。もちろん味は二の次。軍令でワインをつくり続けたワイナリーは、戦後、まずいワインのイメージ払拭に腐心しました。

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山形県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。山形の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く山形の大地

・出羽富士・鳥海山の成り立ちと火山がもたらす湧水や地形
・山形盆地の成り立ちと扇状地に発展した県都・山形市
・大江町の最上川川床で発見!ヤマガタダイカイギュウって何だ!?
・河川がつくった肥沃な庄内平野を35㎞におよぶ庄内砂丘が守る
・最上川・五百川峡谷の誕生と流域に形成された河岸段丘
・どうやって誕生し段丘が発達?山形唯一の有人離島「飛島」の謎
・冬の名物・美しい樹氷はどうして蔵王山に形成されるのか?

…などなど山形のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山形を駆け抜ける鉄道網

・急勾配と豪雪を克服し新庄へ至る全国初のミニ新幹線・山形新幹線
・急峻な板谷峠で奥羽山脈越え!逞しき幹線・奥羽本線の今昔
・九州~北海道の貨物車両が走り日本海縦貫線をなす羽越本線
・日本初の交流電化路線にして今や貨物の重要路線の仙山線
・最上川の絶景峡谷を走る!新庄と余目を結ぶ陸羽西線
・三山・高畠・尾花沢の3路線 山形交通の鉄道路線網とは?

…などなど、山形ならではの交通事情を網羅。

Part.3 山形で動いた歴史の瞬間

・木の実でつくったクッキーも!? 山形県域の縄文時代
・和人が蝦夷の領域へと進出! 城柵から見る開拓の歴史
・鎌倉御家人が地頭として進出! 次第に激化する権力争い
・伊達氏との対立を経て統治者に君臨した最上氏の栄枯盛衰
・街道と航路が整備され 発展する沿道の産業と商業
・領主交代に領民が抵抗! 天保の国替え反対一揆とは?
・異名は鬼県令!? 初代県令三島通庸が推進した土木工事

…などなど、激動の山形の歴史に興味を惹きつける。

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