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富士山形成の歴史:地下はどうなっている?

数十万年にもわたってこの地で火山活動が続いてきた理由は、プレートの活動が深く関係しています。富士山の地下では、ユーラシアプレートと北米プレート、フィリピン海プレートの3つが交差しており、プレートが接した場所ではマグマができやすく、火山活動が活発になりやすくなっています。さらに、富士山のほぼ真下には、フィリピン海プレートが東西に大きく裂けており、このすき間を埋めるように地下で発生したマグマがのぼってくることから、火山活動が長く続いてきたとも考えられています。

富士山形成の歴史:地下はどうなっている?

3つのプレートが重なるところに富士山があります。

富士山形成の歴史:美しい形になった理由

また、富士山が美しい円錐形をしているのは、溶岩の粘り気の質にあります。富士山と、国内では富士山に次いで標高の高い火山の御岳山(おんたけさん:長野県)は、ともにほぼ同一の火口から複数回の噴火を繰り返す成層火山です。この2つを比べてみると、溶岩の粘り気の強い御岳山は表面がゴツゴツとした形状になったのに対し、溶岩の粘り気が弱く流れやすかった富士山は、美しい円錐形になりました。

駿河湾は伊豆半島が本州に衝突してできた!

駿河湾は奥行き約60km、御前崎と石廊崎を結ぶ湾の間口が約55㎞、表面積は約2300㎢で、今からおよそ60万年前、火山島だった伊豆半島がフィリピン海プレートに載って南から移動し、本州に衝突したことで湾となりました。

湾の中央部にはフィリピン海プレートとユーラシアプレートを境界とする溝が南北に伸び、東西を二分しています。この溝は「駿河トラフ」呼ばれ、大地震の想定震源域とされる「南海トラフ」と連続し、その北端部分にあたっています。

駿河湾の最深部は2500mに及ぶ世界有数の深海

駿河湾は、日本はもとより世界でも有数の急峻な海底地形として知られており、湾奥地の富士川河口部では、海岸からわずか2km地点で水深500mにも及びます。駿河トラフでは本州が載っているユーラシアプレートの下に、フィリピン海プレートと太平洋プレートが潜り込み続けていることから、このように急峻で最深部が2500mにも及ぶ深海を作り出したと考えられています。

また、湾南西域には水深平均100m、最浅部32mの「石花海(せのうみ)」と呼ばれる台地が存在し、好漁場となっています。

駿河湾は魚の天国!

日本の魚類は淡水魚を含めて約2300種確認されていますが、駿河湾内には、そのおよそ半分にあたる約1000種もの魚類が生息していると言われています。魚が生息しやすい複雑な地形や、湾内への黒潮の還流など、恵まれた環境が石花海をはじめ絶好の漁場を作り出しています。

水揚げされるのはアジ、サバ、イワシ、カツオ、シラスをはじめ、駿河湾で唯一水揚げされるサクラエビ、大きいものは体長3mにもなる世界最大のカニ・タカアシガニ、ところてんなどの原料になるテングサなど、多岐にわたります。こうした海の幸が静岡県の食文化や漁業を支えてきました。

富士山の湧水が駿河湾に注ぎ込むことで静岡の地形を形作った

富士山の湧水は、年間約25億トンとも言われる富士山に降る雨や雪が大地に染み込み、濾過されながら地下水となり、これが地表に現れたものです。駿河湾の沿岸には湧水の名所が数多くあり、川や岸壁から駿河湾に注ぎ込み、海の恵みを育んでいます。また、湧水は駿河湾の海底でも確認されており、現在その研究が進められています。

富士山頂から駿河湾の海底まで、高低差6300mに及ぶダイナミックな地形は湧水でつながり、美しいグラデーションを描いているのです。

富士山の湧水が駿河湾に注ぎ込むことで静岡の地形を形作った
富士山の湧水が駿河湾に注ぎ込むことで静岡の地形を形作った

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Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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