すでに江戸時代から、河川を舟運路として開発するだけでなく、各河川を横につなぐ運河が造られていました。伊達政宗が晩年に命じたもので、松島湾と阿武隈川を結ぶ計画でした。

初めにつくられたのは、阿武隈川河口の納屋と名取川河口の閖上（ゆりあげ）をつなぐ長さ約15kmの「木曳堀（こびきぼり）」です。阿武隈川流域から集めた米を、名取川・広瀬川を遡って仙台城下の舟丁へ運ぶための運河です。

この運河は、北上川の改修でも活躍した川村孫兵衛によって造られました。成立年代は1597～1601（慶長2～6）年と考えられていますが、明らかではありません。

その次につくられたのが、塩竈と七北田川を結ぶ約7kmの「御舟入堀（おふないりぼり）」。これも、米を塩竈港から仙台城下へ運ぶための運河です。四代綱村のときに着工し、万治年間（1658～1661）に塩竈の牛生（ぎゅうちょう）から大代（おおしろ）、1670～1673（寛文10～13）年に大代から七北田川河口の蒲生までの区間が開削されました。

米は、七北田川を遡って鶴巻で積み替えられ、苦竹で陸に揚げられました。そして、原町の蔵へ納められました。

閖上・蒲生間の運河が造られたのは、明治に入り野蒜築港の話が持ち上がってからのことでした。明治維新後の士族救済事業として行われ、卒族（下級士族）が開削にあたりました。

これによって、当初政宗が指示した区間がすべて開通し、全面的な改修を経て1889（明治22）年に完成。木曳堀・新堀・御舟入堀の一連の運河は、政宗の法号「瑞巌寺殿貞山禅利大居士」から「貞山運河（ていざんうんが）（貞山堀）」と名付けられました。

1878～1884（明治11～17）年には、北上川と野蒜をつなぐ北上運河と、野蒜から松島湾に入る東名運河が造られました。

ところが、野蒜の外港建設中の1884（明治17）年に台風が到来。防波堤が破壊されて船が入れなくなり、あっけなく野蒜築港計画は中止されてしまいました。

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