さらに、富山県土面積の約67％を森林が占めています。自然度の高い原生林的な植生区域が富山県土に占める割合を示す植生自然度は30.0％と、全国平均18.9％を大きく上回っています。北海道、沖縄についで全国3位、本州では第1位です。森林もまたダムのように、降った雨を枝葉や落葉・落枝の堆積層に蓄えて、浄化しながら地中へと徐々にしみ込ませていきます。

急流な河川も、水の浄化に一役買っています。富山県内の代表的な７大河川は、全国の河川と比較しても大きな河床勾配となっています。たとえば常願寺（じょうがんじ）川は、信濃川の約６分の１の長さで、立山に端を発する源流から河口までは約56㎞。このわずかな距離の間に、約3000ｍの標高差を一気に流れ下ることになります。なので、降った雨はすぐに海へ流出することになり、途中で汚染される隙もありません。酸素による循環も活発で、川の水は常にきれいな状態に保たれているのです。

川が急流であるほど土砂は勢いよく運ばれ、見事な扇状地をつくり出します。扇状地は主に花崗岩や変成岩など、透水性・ろ過性が良い砂礫層から成っていることが特徴で、川や地表からしみ込んだ水を地下水として蓄える役目を果たします。水は扇状地の地下をゆっくりと流れながら地中の成分を吸収し、扇端部で湧き出す頃にはまろやかでおいしくなっています。大地が自然の濾過フィルターとなり、たっぷりと時間をかけて、雨や雪をミネラルウォーターに変えているのです。

湧水で特に有名なのが、黒部市の生地（いくじ）地区。清水（しょうず）と呼ばれる湧き水が街中に点在し、古くから人々の生活に欠かせないものでした。黒部川の恵みを受けて、市内では2007年時点で約750か所の自噴井戸が確認され、いたるところで水が湧いています。生地地区には20の湧水スポットがあり、湧出量や水質、味わいが異なるため、生地の人々はそれぞれにお気に入りの清水があるようです。

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