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ます寿しの由来

ます寿しの由来は、富山市にある鵜坂神社の春の祭礼にあるといわれています。鵜坂神社の近くを神通川が流れており、マスやアユなど多くの川魚が獲れるため、古くから漁がおこなわれていました。特に、春に産卵で川を遡上するマスは、鵜坂神社に感謝と祈りを捧げる供え物だったようで、これが富山のます寿しの始まりだそうです。ちなみに、吉宗に献上された寿司に使われていたアユも神通川で獲れたもの。その後はマスが使われるようになり、越中名物として定着していきました。富山市の松川沿いにたくさんの専門店が並んでいる理由は、松川がかつての神通川であったからということは言うまでもないでしょう。

ます寿しメーカーは富山県内に50社

現在、富山県内には50社ほどのます寿しメーカーがあり、各社によって「ます寿し」「鱒の寿司」「鱒寿司」など呼び方や表記は異なります。

老舗として知られる「ますのすし本舗 源(みなもと)」では「親しみやすく、愛されるように」ということで、「ますのすし」という商品名を採用しています。源の初代・源金一郎は、駅弁としてのます寿しを広めた人物。料理旅館「富山ホテル」を営んでおり、富山市に鉄道が開通した際、富山駅構内営業人として弁当や菓子の製造販売業を認可され、大正元(1912)年に駅弁の販売を開始することになりました。当時、「ますのすし」は45銭(現在の価格で1350~1800円ほど)で販売されており、贅沢品というイメージが強かったこと、まだ列車本数が少なかったことなどが影響し、あまり売れていなかったようです。

昭和20(1945)年には富山大空襲によって富山駅と富山ホテルの調理場は全焼しますが、鉄工所の炊事場を借りて調理し、リヤカーで弁当やおにぎりを搬送し続けました。ますのすしを富山の名物に育てたいという一族の努力によって、そのおいしさは広まっていきました。

ます寿しの有名店はほかにも多くありますが、味付け、マスの厚みや並べ方、ご飯の炊き方には違いがあります。富山県民の方は、マスの厚み、酸味、飯の柔らかさなど、好みに応じて贔屓の店がそれぞれにあるのでしょう。

松川(蛇行していた頃の神通川)沿いに多います寿し専門店。食べ比べも醍醐味の1つ。

ます寿司の歴史が学べる「ますのすしミュージアム」

源が手がける『ますのすしミュージアム』では、ます寿しの歴史や伝統を紹介しています。ミュージアム内の伝承館では、昔ながらの製法でます寿しがつくられる過程を見学できます。ちなみに源では、熟練の職人がサクラマスを使い、丹精込めて作った「伝承館ますのすし」などを数量限定販売。富山駅・新高岡駅・富山インター店やミュージアムなど、どの直営店舗でも購入できます。

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Part.1 地図で読み解く富山の大地

・立山連峰との高低差4000m!「きときと」ぞろいの富山湾
・黒部ダムが大電源を生み出すまで
・崩壊を続ける立山カルデラ
・極東の氷河の南限は立山! 国内初の氷河認定とライチョウ
・神秘の光景! 魚津の蜃気楼と雨晴海岸の気嵐
・2000年前に形成された魚津埋没林
・富山の水がおいしいヒミツ
・立山の地下には「何か」がある! 活断層はあるのに地震が少ない理由
・富山湾のホタルイカはなぜ有名?

…など

Part.2 富山を駆ける充実の交通網

・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
・SDGs未来都市に選定 ライトレールが象徴するまちづくり
・伏木港は神戸港に憧れた男の夢
・立山の観光ルートは1つじゃない? 一般開放が待ち遠しい黒部ルート
・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
・鉄オタ集結地! 富山県は公共交通の宝庫
・V字峡谷を走るトロッコ電車

…など

Part.3 富山の歴史を深読み!

・江戸時代は鮎だった! 駅販売で広がったます寿し
・富山県成立までの複雑な歴史/越中の英雄・佐々成政の人物像
・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
・越中の伊能忠敬 射水出身の測量家・石黒信由
・越中の黄金郷 加賀藩極秘の「越中の七かね山」
・北陸近代医療の父・黒川良安
・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり

…など

Part.4 富山で育まれた文化や産業

・「越中おわら節」はなぜ有名?
・財政難を立て直した富山の売薬
・布教のためのテキストだった 曼荼羅から読み解く立山信仰
・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
・売薬商人は危ない橋を渡っていた? 薬の密貿易が生んだ昆布文化
・有名な創業者も多く輩出 富山県民は倹約家で働き者
・ジャポニズムの立役者・林忠正
・アニメの聖地が多い富山県
・瑞泉寺再建から始まった井波彫刻

…など

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