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隠岐の島といえば島流し?江戸時代までは身分の高い者のみ流された

隠岐は島流しの土地としても知られていました。島流しは刑罰のひとつで、流罪(るざい)や流刑(るけい)ともいい罪人を辺境の地や島に流す刑のことです。724年に佐渡や土佐と同じく遠流(京都からもっとも遠い国に流されること)の地と決められました。江戸時代になるまでは天皇や公家など身分の高い者のみが流される土地で、なかには小野篁(おののたかむら:802~852。歌人。遣唐副使となりますが、正使(せいし) 藤原常嗣(ふじわらのつねつぐ)と仲違いして唐に行かず、一時隠岐に流されました)、平致頼(たいらのむねより)(?~1011。武将。伊勢で私戦におよんだため、一時隠岐に流されました)、飛鳥井雅賢(あすかいまさかた)(1585~1626。公家。朝廷内での密通事件に関係し、隠岐に流され生涯を終えました)などがいます。

遠流は律令制における流罪のなかで最も重いものでした。ほかにも中流、近流があり、京からの距離で呼び名が変わります。

隠岐の島に島流しとなった後鳥羽上皇と後醍醐天皇のその後

隠岐に流されたことでとくに有名な2人が後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)と後醍醐天皇(ごだいごてんのう)です。後鳥羽上皇は1198年、息子に天皇の位を譲ると院政を行ないます。1221年に源頼朝(みなもとのよりとも)の死後相次ぐ鎌倉幕府の政争に乗じ、後鳥羽上皇は倒幕の兵を挙げますが失敗(承久の乱)。後鳥羽上皇は現在の隠岐郡海士町(あまちょう)に流されました。その後は、本州に帰ることなく村役人の村上家から主に奉仕され、1239年に亡くなります。隠岐では和歌を詠むなどして過ごし『隠岐本新古今和歌集(おきぼんしんこきんわかしゅう)』『遠島御百首(えんとうおんひゃくしゅ)』などを残しています。

後鳥羽上皇に関係する神社などが隠岐にある

後鳥羽上皇が仮御所にして、最期は葬られた源福寺跡には1939年に隠岐神社が建てられ、後鳥羽上皇を祭神としています。境内には御火葬塚や歌碑があり、北側には海士町後鳥羽院資料館が建てられ、後鳥羽上皇に関する宝物を見ることができます。

隠岐神社

住所
島根県隠岐郡海士町海士
交通
七類港から隠岐汽船で3時間、菱浦港で隠岐海士交通豊田行きバスに乗り換えて14分、隠岐神社前下車、徒歩3分
料金
情報なし

隠岐に流された後醍醐天皇、その1年後脱出!

後鳥羽上皇が流されてから111年後の1332年、同じく倒幕を計画しますが、正中の変、元弘の変で失敗した後醍醐天皇が隠岐に流されました。この時の天皇の御所についてはふたつの説があります。ひとつは西ノ島町の黒木御所(くろきごしょ)です。現在は関係史料を展示する碧風館や黒木神社が建っています。もうひとつは隠岐の島町の隠岐国分寺で、こちらには後醍醐天皇行在所趾の碑が建っています。どちらも決定的な史料がなく結論は出ていません。

天皇は隠岐に流されても倒幕の意志を捨てず1333年には隠岐を脱出。伯耆(ほうき)(現在の鳥取県中西部)に上陸し船上山(鳥取県琴浦町)で兵を挙げ、鎌倉幕府が滅ぶと京都に戻っています。

島流しで京都の文化が隠岐へ、舞楽なども

高位の者が隠岐に流されたことから、京都の文化が隠岐に入って独自の文化が生まれています。隠岐国分寺の蓮華会舞(れんげえまい)は、大陸から入って全国の主な寺院で舞われていた舞楽が隠岐に伝わったものです。

隠岐の牛突きは、小牛が角を突き合わせている姿を見て上皇が喜んだことから、島民が上皇を慰めるために始めたと伝わっています。毎年9月と10月に大会が行なわれ、11月には上西神社での奉納牛突きも行なわれています。

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Part.1 地図で読み解く島根の大地

・「弁当忘れても傘忘れるな」な島根の天気
・山陰地方と呼ばれるのは島根県と鳥取だけ?
・水質の良い一級河川「高津川」と大井谷の棚田
・隠岐諸島の「レッドクリフ」をはじめとする島々
・三県境と全国5番目に広い湖「中海」と7番目の「宍道湖」
・全盛期は東アジア最大、世界で2位の産銀量「石見銀山」は港まで続いていた?
・東京ドームほどの海浜公園「石見畳ヶ浦」

ほか

Part.2 島根を駆ける充実の交通網

・「銀の道」さらに「うなぎ街道」「鯖街道」とは?
・朝廷への情報伝達に使われた「官道」とは?
・土木学会が指定した土木遺産「福浦トンネル」
・一畑電鉄と一畑駅、大社線と大社駅
・Mランドドライビングスクールとは?
・JR木次線の「三段式スイッチバック」とは?
・島根の旧三江線トロッコ、初めて県境越え広島へ
・奥出雲おろちループ
・古代山陰道
・「ベタ踏み坂」江島大橋
・未成線広浜鉄道
・神にまつわる名前のついた10の駅
・最後の寝台列車サンライズ出雲

ほか

Part.3 島根の歴史を深読み!

・『日本書紀』『古事記』から神々を知ろう
・古墳も多い島根県
・『出雲国風土記』の世界「黄泉の穴」
・出雲大社を筆頭とする様々な「神社」
・「出雲」「石見」「隠岐」から「島根に」
・山陰のモンサンミッシェル?こと宮ケ島 衣毘須神社
・出雲の方言 東北の訛りとの共通点
・なぜ津和野町に「森鴎外記念館」が?「小京都」と呼ばれるわけ
・歴史的大打撃「廃仏毀釈」で失われたモノ
・島流しといえば「隠岐」?
・江戸時代の島根県、松江藩による出雲平野の開拓

ほか

Part.4 島根で育まれた産業や文化

・「相撲」発祥の地と言われる出雲
・名湯の多い島根県
・継承される多くの神楽と安来節
・歌舞伎の原型になったとされる「阿国歌舞伎」
・「玉鋼」と「たたら製鉄」と黒曜石
・日本で唯一「黄長石霞石玄武岩」を産出
・小泉八雲の作品と小泉邸

ほか

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