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三方国替えに対して反対運動を起こした庄内藩領民

庄内藩の領民は藩主・酒井氏への信頼が厚く、一方では次期藩主となる松平斉典に対して不安を募らせ、ついには「百姓と雖(いえど)も二君に仕えず」を合言葉に国替え反対運動を展開することになりました。
翌1841(天保12)年1月、庄内藩の有志が江戸へと上り、大老・井伊直亮(なおあき)や老中・水野忠邦(ただくに)ら重臣に国替え撤回を嘆願します。通常であれば直訴は重罪ですが、藩主を擁護する直訴は前例がなく、領民たちは罪に問われることはありませんでした。

反対運動は過激化し、さながら一揆のような示威行動をするようになり、仙台藩や会津藩などの近隣諸藩へと越境して国替え阻止を訴えるようになります。やがて同年に徳川家斉が亡くなると、外様大名たちからも三方国替えに対して疑問の声が上がるようになりました。

三方国替えの起因が発覚し撤回

12代将軍・徳川家慶(いえよし)は川越藩から水野忠邦ら幕閣への工作があったことを突き止め、1841(天保12)年7月12日に転封撤回を決めました。幕命が取り消されるのは前代未聞の出来事です。この一連の反対運動のことを天保義民事件といい、なりゆきは絵巻『夢の浮橋』にまとめられました。

当事者は罰せられるも影響は残った

三方国替えは撤回されるも水野忠邦からの報復を強いられた5藩

この件があっても水野忠邦の老中首座の地位は揺らぐことがなく、1843(天保14)年、庄内藩を含む5藩(鳥取藩、沼津藩、秋月藩、貝渕(かいぶち)藩)は幕府から御手伝普請(幕府が諸藩に請け負わせる公共工事)として印旛沼(いんばぬま)の疎水工事を命じられ、多額の出費を強いられてしまいます。工事を命じられた5藩はいずれも水野忠邦と対立関係にあったことから、忠邦による報復的な意味合いが強い御手伝普請であったとされています。

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Part.1 地図で読み解く山形の大地

・出羽富士・鳥海山の成り立ちと火山がもたらす湧水や地形
・山形盆地の成り立ちと扇状地に発展した県都・山形市
・大江町の最上川川床で発見!ヤマガタダイカイギュウって何だ!?
・河川がつくった肥沃な庄内平野を35㎞におよぶ庄内砂丘が守る
・最上川・五百川峡谷の誕生と流域に形成された河岸段丘
・どうやって誕生し段丘が発達?山形唯一の有人離島「飛島」の謎
・冬の名物・美しい樹氷はどうして蔵王山に形成されるのか?

…などなど山形のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山形を駆け抜ける鉄道網

・急勾配と豪雪を克服し新庄へ至る全国初のミニ新幹線・山形新幹線
・急峻な板谷峠で奥羽山脈越え!逞しき幹線・奥羽本線の今昔
・九州~北海道の貨物車両が走り日本海縦貫線をなす羽越本線
・日本初の交流電化路線にして今や貨物の重要路線の仙山線
・最上川の絶景峡谷を走る!新庄と余目を結ぶ陸羽西線
・三山・高畠・尾花沢の3路線 山形交通の鉄道路線網とは?

…などなど、山形ならではの交通事情を網羅。

Part.3 山形で動いた歴史の瞬間

・木の実でつくったクッキーも!? 山形県域の縄文時代
・和人が蝦夷の領域へと進出! 城柵から見る開拓の歴史
・鎌倉御家人が地頭として進出! 次第に激化する権力争い
・伊達氏との対立を経て統治者に君臨した最上氏の栄枯盛衰
・街道と航路が整備され 発展する沿道の産業と商業
・領主交代に領民が抵抗! 天保の国替え反対一揆とは?
・異名は鬼県令!? 初代県令三島通庸が推進した土木工事

…などなど、激動の山形の歴史に興味を惹きつける。

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