フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  四国 > 高知県 >

手結港可動橋は港への交通量の増加に伴い建設された

この臨港道路にはもともと橋は架かっておらず、車両・歩行者は手結港を一周する道路を利用していました。しかし近年周囲に漁業の水揚げ拠点となる手結新外港(ていしんがいこう)や、マリンスポーツなどが楽しめる海浜公園の整備が進み地域外からの交通量が増加。港の周囲の道路は狭く事故なども心配されました。

このため住民の居住環境を守りながら、漁業者も手結港に出入りできるようにするには可動橋にするのがベストだったとされます。手結港は江戸期に築港された日本最古の本格的な掘り込み港として知られており、景観が大きく変わったり民家の立ち退きが発生したりする、けた下の高い橋は設置できない事情もありました。高知県が3年かけて建設。総工費は21億3000万円でした。

手結港可動橋によって守られた伝統と景観美

掘り込み港は水際線が単調な場合、埋め立ての方式をとらず、陸地を掘り込んで造成する人工港。江戸初期の1650(慶安3)年、土佐藩(とさはん)の奉行で土木事業を得意とした野中兼山(のなかけんざん)が築港に着手。人力で東西約49m、南北約112mの船だまりを掘り7年がかりで完成させました。

南側は半島でふさがれ、港口は西向きのため夏の暴風から漁船を守ることができ、古くから土佐藩でも屈指の良港として知られていました。港の形状は築港当時とほとんど変わらず今も現役の港として常時約20隻の漁船が利用しています。石積み護岸や岸壁、基礎など石組み構造物の技術の高さの現れです。

手結港可動橋のように日常的に動作しているものは珍しい

国内で手結港と同様の跳ね橋は、橋の中央部分が「ハ」の字に開き1940(昭和15)年に完成した東京都中央区(ちゅうおうく)の勝鬨橋(かちどきばし)がよく知られています。ですが通行量が増え隅田川(すみだがわ)を往来する船が減ったことから1970(昭和45)年を最後に半世紀以上開いたことはありません。

現存する道路可動橋としては日本最古の1935(昭和10)年に完成した愛媛県大洲市(おおずし)の長浜大橋(ながはまおおはし)は、今も生活道路として活用されています。ただ開閉は土日祝日の決まった時間だけ点検と観光客のため1、2回10分程度実施されるだけで、手結港のように日常的に開閉しているケースは全国でも珍しいのです。

『高知のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から高知県を分析!

高知県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。高知の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く高知の大地

・森・川・海の恵みを受ける高知県の風土と特徴
・岩石が混ざり合う地質帯メランジュと高知県の台地
・最後の清流と呼ばれる四万十川、その流れと秘密に迫る
・室戸岬の海洋深層水は多分野で利用可能性
・桂浜のカラフルな五色の石はどうやってできた?
・海と大地が交わる場所室戸岬で地球の営みを感じる
・早明浦ダムは「四国の命」治水・利水で4県が受益

・・・などなど高知の自然を解説。

Part.2 高知を駆ける充実の交通網

・高知県の鉄道大動脈土讃線と予土線の歴史と魅力
・人も運んだ魚梁瀬森林鉄道は姿消しても住民になお郷愁
・着工から37年がかりで開通の住民の足、ごめん・なはり線
・3つの日本一を有するとさでん交通の路面電車
・高知県の高速道路整備・津波対策の新たな役割
・跳ね橋の「手結港可動橋」渡れるのは1日7時間

…などなど高知の交通事情を解説。

Part.3 高知で動いた歴史の瞬間

・どうやって都に帰った?土佐日記から見る土佐国
・京都から土佐国へ移住した公家大名・土佐一条氏とは?
・四国全土を1代で征服、姫若子・長宗我部元親の躍進
・広大な土佐国をどう治める?一豊が築いた土佐藩の基礎
・土佐から北アメリカ大陸へ!ジョン万次郎の生涯
・幕末の土佐藩を雄藩に導いた坂本龍馬の軌跡と真実
・明治維新から間もない高知で生まれた自由民権運動

…などなど高知の歴史を徹底解説。

Part.4 高知で生まれた産業や文化

・村の予算を超える売り上げ、馬路村のゆず加工品
・高知県が目指す次世代型施設園芸農業とは
・黒潮の恵みが育むカツオは高知県民のソウルフード
・著名漫画家を多く輩出する高知が育んだまんが文化
・植物の研究に没頭した牧野富太郎博士の功績を知る
・1人1人が主役になれる自由で熱いよさこい祭り

…などなど高知の産業と文化を丁寧に解説。

『高知のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  四国 > 高知県 >

この記事に関連するタグ