フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  四国 > 高知県 >

山内一豊はいかにして土佐国を治めたのか

関ヶ原の合戦で徳川政権が安定したとはいえ、大坂には豊臣方の武将も多くいます。政情は不安定であり、山内家の支配を認めない長宗我部旧家臣の武装蜂起や、農民一揆なども想定されていました。

山内一豊は国の要所に重臣を配置

土佐国は領土が広く国境線も長いため、各地に拠点を設けて領内支配を行う必要があります。そこで山内一豊は海岸沿いの街道や国境沿いに位置する、宿毛(すくも)・中村(なかむら)・窪川(ぼかわ)・佐川(さかわ)・本山(もとやま)・安芸(あき)に支城を築城。弟や甥、古参家臣や筆頭家老など特に重臣を配置し、国境の監視や領内支配に当たらせました。1615(慶長20)年の一国一城令によってこれらの城は取り壊されますが、跡地に「土居(どい)」と呼ばれる屋敷を建築。領内支配の拠点となり「土居付家老(どいつきがろう)」が配置されました。

山内一豊の居城、高知城

入国時に居城とした浦戸は交通の要衝でしたが、国を治めるには手狭でした。そこで山内一豊は居城を大高坂山(おおたかさかやま)に移転。徳川家康の許可を得て、同年9月から工事に取りかかりました。大高坂山には長宗我部元親(もとちか)の居城があったとされていますが(完成していたか、築城途中だったかは不明)、山内一豊はこの城を一度取り壊して新たに築城したと伝わります。現在でも三之丸の内側には、長宗我部時代の石垣を見ることができます。

治水に難するも優秀な家臣と最先端技術で乗り切る

鏡川(かがみがわ)と江ノ口川(えのくちがわ)に囲まれた大高坂山は治水が困難でしたが、上方(かみがた)で召し抱えた百々越前安行の差配と、織田・豊臣政権で培った最先端の土木技術を駆使して、難工事を成功させます。1603(慶長8)年に完成した本丸の石垣は小さめの石が積まれていますが、1611(慶長16)年に完成した三之丸の石垣には巨石が目立つなど、築城中に技術力が上がっていることが分かります。

山内一豊が拠点とした城下町

築城工事と並行して、城下町の整備も進みました。鏡川に堤防を築いて、砂地を干拓。城の東側に町人町をつくり、商人や職人を誘致して商工業の拠点としました。1640年代になると城で働く奉公人が増加したため、城の西側に奉公人や足軽が暮らす上町(かみまち)を整備。1661(寛文元)年ごろには、人口1万7000人以上の城下町が完成しました。

高知城と城下町の現在の姿

高知城周辺には城下町の面影がほとんど残っていませんが、高知城は本丸御殿と天守がともに残る全国唯一の城です。1873(明治6)年、高知県は城跡を公園として整備することにしました。本丸御殿と天守以外の建物は売却され取り壊されますが、本丸御殿は文化施設として一般に開放。このときに、懐徳館(かいとくかん)と命名されています。戦時中の高知大空襲の際は地元消防団の活躍により焼失を免れ、天守他9棟が国の重要文化財に指定されています。

高知城

住所
高知県高知市丸ノ内1丁目2-1高知公園内
交通
JR高知駅からとさでん交通桟橋線桟橋通5丁目行きで5分、はりまや橋でとさでん交通伊野線伊野方面行きに乗り換えて4分、高知城前下車、徒歩10分
料金
入館料(天守・本丸御殿<懐徳館>)=大人420円、18歳未満無料/(障がい者手帳持参で本人と同伴者1名無料)

山内一豊は石高が4倍になる大出世をした?

長宗我部元親は豊臣政権に9万8000石の御前帳を提出し、この数字に基づいて普請役を務めています。徳川家康はこの数字に基づき、山内一豊に土佐国を与えました。山内一豊の掛川での領地高が5万9000石なので、2倍弱の加増だったのです。

その後2代藩主忠義(ただよし)が、長宗我部検地帳(御前帳の後の検地で作成されたもの)の数字をもとに、一定の基準で算出した20万2600石という石高を幕府に提出。これが公的な土佐藩の領地高となりました。ちなみに土佐の領地高が24万石というのは、土地面積1反を1石で計算したものです。実情を伴わない数字ですが、江戸時代に広く流布したため、「石高が4倍になる大出世」といわれるようになったのです。

『高知のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から高知県を分析!

高知県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。高知の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く高知の大地

・森・川・海の恵みを受ける高知県の風土と特徴
・岩石が混ざり合う地質帯メランジュと高知県の台地
・最後の清流と呼ばれる四万十川、その流れと秘密に迫る
・室戸岬の海洋深層水は多分野で利用可能性
・桂浜のカラフルな五色の石はどうやってできた?
・海と大地が交わる場所室戸岬で地球の営みを感じる
・早明浦ダムは「四国の命」治水・利水で4県が受益

・・・などなど高知の自然を解説。

Part.2 高知を駆ける充実の交通網

・高知県の鉄道大動脈土讃線と予土線の歴史と魅力
・人も運んだ魚梁瀬森林鉄道は姿消しても住民になお郷愁
・着工から37年がかりで開通の住民の足、ごめん・なはり線
・3つの日本一を有するとさでん交通の路面電車
・高知県の高速道路整備・津波対策の新たな役割
・跳ね橋の「手結港可動橋」渡れるのは1日7時間

…などなど高知の交通事情を解説。

Part.3 高知で動いた歴史の瞬間

・どうやって都に帰った?土佐日記から見る土佐国
・京都から土佐国へ移住した公家大名・土佐一条氏とは?
・四国全土を1代で征服、姫若子・長宗我部元親の躍進
・広大な土佐国をどう治める?一豊が築いた土佐藩の基礎
・土佐から北アメリカ大陸へ!ジョン万次郎の生涯
・幕末の土佐藩を雄藩に導いた坂本龍馬の軌跡と真実
・明治維新から間もない高知で生まれた自由民権運動

…などなど高知の歴史を徹底解説。

Part.4 高知で生まれた産業や文化

・村の予算を超える売り上げ、馬路村のゆず加工品
・高知県が目指す次世代型施設園芸農業とは
・黒潮の恵みが育むカツオは高知県民のソウルフード
・著名漫画家を多く輩出する高知が育んだまんが文化
・植物の研究に没頭した牧野富太郎博士の功績を知る
・1人1人が主役になれる自由で熱いよさこい祭り

…などなど高知の産業と文化を丁寧に解説。

『高知のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  四国 > 高知県 >

この記事に関連するタグ