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澎湖諸島の気候

澎湖諸島の海域は東アジアでも指折りの強風地帯です。台湾海峡は中国大陸と台湾島に挟まれており、両岸に山岳があるため、狭まった気流の経路となって風力が強まります。特に10月から3月までの北東季節風は強力で、海水が飛散します。これは「鹹雨(かんう)」と呼ばれ、塩害だけでなく、土中から水分を奪ってしまうため、農業は打撃を受けるのです。

そのため、人々は玄武岩や隆起珊瑚礁(りゅうきさんごしょう)の石塊(せっかい)をもちいて防風(ぼうふうがき)を設け、その風下にあたる場所で栽培を行おこなってきました。作物は乾燥に強い落花生(らっかせい)やイモ類、そして風に強いヘチマやカボチャ、スイカなどに限られています。

澎湖諸島は玄武岩が作り上げる興味深い地形

澎湖諸島は玄武岩地形で知られています。最西端にある花嶼(かしょ)を除くと、ほぼ全域が新生代末期に溶岩が地殻を突き破って噴出した、玄武岩の溶岩台地なのです。

特に澎湖本島の東側には鶏善嶼(けいぜんしょ)や錠鉤嶼(じょうこうしょ)が玄武岩自然保留区に指定され、アジサシやカモメの生息地となっているほか、澎湖本島の南側、特に桶盤嶼(とうばんしょ)や虎井嶼(こせいしょ)などでは海蝕柱(かいしょくちゅう)や海蝕洞(かいしょくどう)、柱状節理(ちゅうじょうせつり)などが発達し、露出地層や傾斜した岩盤なども多く見られます。

澎湖諸島は干満差が大きい

澎湖諸島の海域は干満差が大きいため、奎壁山(けいへきさん)では干潮時にトンボロ地形が見られるほか、干満によって島の形状や大きさが変わる澎澎灘(ポンポンタン)のような島もあります。

澎湖諸島には人類最古の漁法が今も残る

澎湖諸島に残る、人類最古の漁法といわれる「石滬(せきこ)」も注目したいキーワード。これは日本でいう「石干見(いしひび)」のことで、世界各地で行われてきた漁法です。

澎湖海域では3つの海流が集まっており、南側には広大な大陸棚の「台湾浅堆(たいわんせんたい)(フォルモサバンク)」が存在します。そのため、この海域に集まる魚は種類が豊富で、世界有数の漁場となっているのです。

澎湖諸島に残る石滬とは

石滬は潮間帯(ちょうかんたい)に石垣を設け、満潮時には水没して魚を追い込みます。そして、干潮を待ち、石垣が現れ、そこから外へ出られなくなった魚を獲るというもの。澎湖海域には574か所の石滬が残っていますが、そのうち109か所は吉貝嶼(よしかいしょ)に集まっており、その密度は世界屈指とされています。

漁業は島の暮らしを支えており、水産加工品製造も重要な地場産業なのです。しかし最近では、観光業も盛んです。馬公観音(かんのん)亭では、干潮時には橋の下に潮間帯が広がります。また、西吉嶼(せいきちしょ)では、玄武岩の絶壁と放牧されるヤギが風物詩。降雨量は年間1000mm未満で乾燥しています。

地図で見る澎湖諸島

地図で見る澎湖諸島
東吉嶼、西吉嶼、東嶼坪嶼、西嶼坪嶼は澎湖南方四島国家公園(国立公園)に指定されています。

島名:澎湖諸島(県庁所在地は馬公)
別名:Pescadores
所属:澎湖県
面積:128㎢(最大の島は澎湖本島)
人口:10万6174人(うち馬公市が6万3155人)
気候:温暖湿潤気候(ただし、降雨量は少ない)

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【著者】 片倉佳史(かたくらよしふみ)

台湾在住作家。武蔵野大学客員教授。台湾を学ぶ会代表。1969年生まれ。
早稲田大学教育学部教育学科卒業後、出版社勤務を経て台湾と関わる。台湾に残る日本統治時代の遺構や建造物を記録するほか、古写真や史料の収集、古老や引揚者の聞き取り調査を進める。 著書に『台北・歴史建築探訪』、『台湾旅人地図帳』、『台湾に生きている日本』、『古写真が語る台湾 日本統治時代の50年』など。
台湾事情や歴史秘話、日台の結びつきなどをテーマに講演をこなすほか、ツアーの企画なども行なっている。

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