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可部線の廃線までの経緯

当時のJR可部線は、可部駅~三段峡駅は非電化区間だったため、エンジンを搭載した気動車で運行。可部駅~加計駅(現在は廃駅)間で1日8往復、三段峡駅までは5往復していました。

しかし沿線人口の減少などにより輸送量は年々減少の一途をたどり、地元自治体による乗車運動などの取り組みにもかかわらず、JR西日本発足時の輸送量の約6割にまで利用が減少しました。そのため、やむなく2003(平成15)年11月30日の運行を最後とし、可部駅~三段峡駅は廃線となりました。廃線後は、広島電鉄や広島交通による代替バスに転換されました。

可部線廃線後の問題

その後、残された鉄道施設や線路跡についてどうするかが問題として浮上。関係する当時の山県郡加計町(やまがたぐんかけちょう)・戸河内町(とごうちちょう)・筒賀村(つつがそん)・佐伯郡湯来町(ゆきちょう)の4町村で協議されましたが、線路や旧鉄道施設を放置できないため、線路・マクラギの撤去や駅舎解体などを開始。鉄道の復活は不可能となりました。

可部線の廃線からの復活計画

廃線前から周辺住民による可部線存続の要望や活動は少なからずあり、廃線以降も復活を希望する活動は継続されていました。

2007(平成19)年に制定された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」で、可部線活性化調査が国の補助対象となったことにより、翌年2008(平成20)年に電化延伸工事(復活)計画が具体化。2011(平成23)年には、可部駅から旧河戸駅付近までの約2kmを電化して復活させる方針を広島市が明らかにしました。また、路線を旧河戸駅より約400m延伸し、亀山南に新しい終着駅を設けることとしました。

2015(平成27)年2月、電化延伸新設工事に着手し、翌2016(平成28)年7月には、新設する中間駅を「河戸帆待川(こうどほまちがわ)駅」、終端駅を「あき亀山駅」と発表。かくして2017(平成29)年3月4日に、可部駅~あき亀山駅の約1.6kmが開業。廃線した路線の復活事例はJR路線で全国初のことです。

可部線の廃線からの復活計画

JR可部線は、横川駅から太田川沿いに北上しています。安佐南区や安佐北区の団地と広島市中心部をつなぐ路線です。

可部線は廃線から見事に復活!さまざまな目的や役割を果たす

沿線の宅地化が進んだことにより、終端駅である「あき亀山駅」付近には現在、住宅地が広がります。2019(令和元)年度(2019年4月~2020年3月)における1日の平均乗車人員は、可部駅・河戸帆待川駅・あき亀山駅の合計約4100人(乗降者約8200人)。復活路線は現在、可部北西部地域における利便性の向上、公共交通機関の機能強化、まちづくり活動による地域活性化など、さまざまな目的や役割を果たしています。

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冷泉数はトップクラス!?知られざる広島と温泉の関係
宮島の紅葉谷は人工的に造られたものだった!
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Part.2:広島を駆ける充実の交通網
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廃線となった可部線の復活劇!全国初のその経緯とは? ほか

Part.3:広島で動いた歴史の瞬間
神武天皇も広島に来た?神武東征ゆかりの地を巡る
海上交通網を制するためあえて三角州に広島城を築城
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Part.4:広島で生まれた産業や文化
レモンは瀬戸内海がお好き?広島県のレモン栽培
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<コラム>
データで分かる全23市町 人口、観光、農業・漁業
絵図と写真で見る広島の鉄道
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