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大村藩が倒幕の意見を強くした「勤王三十七士」の同盟と大村騒動

大村藩が倒幕運動を強くした背景には、大坂や江戸で学んだ上級藩士の子弟たちの動きがあります。少壮有為な渡辺清とその弟の渡辺昇、楠本正隆、長岡治三郎、松林飯山(はんざん)らです。彼らは新しい日本のためにと「勤王三十七士」の同盟を結成しました。

慶応3(1867)年、大村藩を揺るがした大村騒動という暗殺事件が起きますが、この事件を機に、大村藩には倒幕の意見が強くなったとされています。

大村藩の渡辺昇が尽力した薩長連合

攘夷運動を展開していた長州藩と薩摩藩は、元治元(1864)年の四国艦隊下関砲撃と文久3(1863)年の薩英戦争でともに外国軍隊の強さを痛感、強い国をつくるために倒幕の意見で一致します。大村藩の渡辺昇は江戸での遊学時代、桂小五郎ら長州の武士たちと知り合っており、この時の縁で坂本龍馬とともに薩長連合に一役果たしました。

結果、慶応2(1866)年薩長連合の盟約、翌年には倒幕の密勅が薩長に下り、同年、徳川慶喜は大政奉還を宣言しました。

大村藩と鳥羽・伏見の戦い

しかし、幕府側を支持する大名も多く、慶応4(1868)年1月「鳥羽・伏見の戦い」が勃発、幕府側と倒幕派は戊辰戦争へと突入します。

戊辰戦争における倒幕派の主流は薩長両藩でしたが、大村藩は平戸藩兵とともに戦い大きな働きをしました。開戦の直前、東からの旧幕府軍の攻撃に備え、大村藩は近江国大津に兵50人を派遣。鳥羽・伏見の戦いは、兵士の数では圧倒的に旧幕府軍が有利でしたが、新式銃砲を装備した官軍が勝利し、旧幕府軍は敗走しました。

大村藩と戊辰戦争

大村藩はこの後、薩摩藩から独立して東征軍の総督の指揮のもと、先鋒となって戦い東上。幕府軍の桑名城を受け取る大役を果たしています

2月になると100人近くまで兵士を増やし、箱根の関所を奪取。関東に入って江戸城総攻撃の準備に備えました。

5月15日、1日にして彰義隊を討伐すると、抗戦を続ける東北諸藩との戦いへと進軍。会津の戦いでは佐賀・薩摩・松代の諸藩と連合して会津若松城を陥落させました。しかし東北諸藩は官軍に抵抗し、大村藩は東北で勤王倒幕派だった秋田藩の応援に入り、角館で庄内藩と戦いました。

少年兵を含む死傷者を出しましたが、やがて箱館戦争で戊辰戦争は終結しました。戊辰戦争における一連の戦いに対し、大村藩は3万石の賞典を受けましたが、これは2万7000石の大名に対するものとしては破格の多さでした。

大村市と角館町をつないだ少年兵・浜田謹吾

戊辰戦争末期、大村藩は秋田藩角館で戦いました。秋田は東北では少ない薩長派だったため、旧幕府側の庄内藩などから激しく攻撃され、角館の争奪戦が行われました。大村藩北伐軍二番隊の鼓手として参戦した15歳の浜田謹吾は、刈和野で戦死。衣服に縫い付けられた母の歌に心うたれ、現地の人から手厚く葬られました。これが縁で大村市と角館町(現・仙北市)は姉妹都市となります。

戊辰戦争における大村藩士の進路

戊辰戦争における大村藩士の進路

鳥羽・伏見の戦いでは少数ながら最新の武器で勝利し東征軍となり、桑名、箱根を経て江戸に入ります。東北では会津若松城を陥落。北伐軍は角館などで激しく戦い抜きました。

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・火山活動が作ったダイナミックな地形! 島原半島ジオパークとは?
・長崎は江戸時代から埋立都市だった?
・「国境の島」対馬の特殊な生態系
・水中調査で解明! 横島沈没の謎
・国内初のティラノサウルス発掘! 長崎は白亜紀の化石の宝庫だった
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・最先端をゆく五島の洋上風力発電

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Part.2 長崎に開かれた多彩な交通網

・初期の長崎本線は早岐経由だった
・新幹線開業に向け再開発中! 長崎駅の今昔
・新旧の車両が行き交う長崎電気軌道
・小島が国際空港に! 長崎空港は世界初の海上空港
・長崎が生んだ画期的な交通手段! 坂を上る日本初のエレベーターとは!?
・東洋一と称された西海橋の誕生
・進化を遂げた長崎街道の日見峠
・松浦鉄道には3つの日本一がある!?
・当時の面影が残る雲仙鉄道の廃線跡
・島原鉄道は奇跡のローカル線!?
・吉田初三郎が描いた 長崎の鳥瞰図

Part.3 長崎で動いた歴史の瞬間

・東アジアの一大交流拠点だった! 原の辻遺跡が語る古代の交易
・“神風”の謎が海底遺跡調査で判明!? 鷹島神崎遺跡から見る蒙古襲来
・ポルトガルが平戸で貿易を始めたワケ
・なぜ長崎は教会領になったのか
・町民が主役!? 特例だらけの貿易都市長崎の誕生
・ラクダを飼っていた!? オランダ人の出島生活の実態とは
・龍馬を襲った「いろは丸事件」の真実
・倒幕の裏には大村藩士の活躍があった
・人口約4000人の村が一変!? 寒村だった佐世保が大変貌したワケ

…など

Part.4 長崎で生まれた産業や文化

・印刷も写真も通信も長崎発祥!? 長崎は“日本初”を量産していた!
・世界遺産に登録された日本造船業の原点! 三菱長崎造船所のあゆみ
・細部まで技巧を凝らした圧巻の建築美! 数々の教会堂を手がけた鉄川与助とは
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