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金沢港の歴史

金沢港は、隣接し合っていた旧大野港と旧金石港が合併して生まれました。大野・金石はかつて、北前船の寄港地として栄えた港でしたが、鉄道の発達により北前航路は衰退。港からも賑わいは消えていきました。

その後は、貿易港を建設しようとする動きがあったものの、第二次世界大戦の勃発により、港湾整備は凍結されていました。

金沢港誕生のきっかけ

しかし、金沢港誕生のきっかけとなる出来事が起こります。

昭和38(1963)年1月の豪雪です。金沢市内で181cmの積雪を記録し、後に「サンパチ豪雪」と名付けられたこの大雪のせいで、鉄道、道路などすべての陸上輸送が絶たれ、金沢は陸の孤島となってしまいました

このとき、原燃料の入手が不可能になり操業不能になる工場が相次ぎ、地元の産業は当時で161億円に上る大打撃を受けました。地域住民は、石油・石炭などの燃料や食料品などが欠乏し、パニックに陥ったといいます。

海上輸送は、このとき残された唯一の交通手段でした。北陸への緊急物資輸送には、三国、伏木、富山、直江津などの各港が活用されました。

しかし、金沢だけが大規模な港をもたなかったため、富山県伏木港に頼らざるを得ず、伏木港から金沢までは豪雪を切り開きながらの物資輸送となりました

この出来事を経て、金沢に大きな港を望む声が高まっていきました。

金沢港の建設から完成まで

こうして、金沢港の建設が始まりました。当時としては珍しい掘り込み式港湾として、河北潟から日本海に注ぐ大野川下流を中心に地面を掘り込む形で整備が進められました。

要となったのは水底をさらって土砂を取り除く浚渫(しゅんせつ)工事というもので、このために巨大なポンプ浚渫船が投入されました。

他にも、軟弱地盤対策や防波堤工事などの課題を乗り越え、昭和45(1970)年11月1日、記念すべき第1船が接岸。国際貿易港としての金沢港が誕生しました。

金沢港の開港とその影響

開港以降は、市民の切実な要望であった石油基地をはじめ、防波堤、岸壁、航路など港湾に必要な設備が次々と整備されました。昭和63(1988)年に開設された韓国釜山との定期コンテナ航路を皮切りに、台湾、中国への航路が次々と開かれ、コンテナの取扱量も大幅に伸びています。

金沢港にクルーズターミナルがオープン

金沢港は本州日本海側トップクラスのクルーズ寄港数を誇る港にまで成長しましたが、さらなる受け入れを可能にするため、石川県は開港以来の大改修を進めてきました。

そのメイン施設ともいえる「金沢港クルーズターミナル」が2020年にオープン。そこに設けられた「CIQエリア」では、1283m2の広い空間で4000人の出入国手続きを2時間以内で終えることができます。たとえクルーズ船が2隻同時に寄港しても対応可能です。

金沢港周辺の交通網の整備も進められている

周辺では金沢外環状道路海側幹線の整備が進められており、港へのアクセス性向上や国道8号などの慢性的な交通渋滞緩和だけでなく、陸・海・空の交通基盤の連結もスムーズに。

港周辺の機能を強化することで、金沢のさらなる経済効果が期待されています。

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