金沢の路面電車の全線廃止
市民の交通手段として定着したように思われましたが、戦後の高度経済成長によって市電の短所が目立つようになってしまいます。モータリゼーションが進んで車が普及し始めると、金沢中心部は混雑がひどくなりました。そんななかで、市電の存在が渋滞に拍車をかけていたのです。雪国という土地柄、冬はさらに混雑が深刻でした。空襲を受けていないという街の特性上、もともとの道幅が狭かったことも原因だったと考えられます。
坂の多い地形も安全面に影響を及ぼし、昭和40（1965）年には、兼六園横の兼六坂を下っていた電車がブレーキの故障で脱線転覆するという事故が起こりました。乗客1人が死亡、24人が重軽傷を負ったことで、市電の存続を疑問視する声が一気に強まりました。この頃には経営赤字が膨らんでおり、事故がきっかけとなって全線の廃止が決定しました。それまでの48年間、市民の足として愛されてきた歴史に幕を閉じました。
北陸3県のうち金沢だけ路面電車が走っていない
こうして金沢市内から電車が姿を消してもう50年以上が経ちます。北陸3県の県庁所在地で市内電車が走っていないのは金沢だけです。金沢とちがって富山市や福井市で市電が今日まで残っているのは、道路が拡張され、平坦であることが大きいといわれています。
特に富山市は、終戦直前に受けた大空襲によって市街地のほとんどが焼き尽くされました。焼け野原からの街づくりは新たな発想が根付きやすかったともいえ、現在、富山市の中心部では未来の路面電車ともいわれる「ライトレール」が走っています。
隣接した県でありながら、戦争によってまったく対照的になった街の姿を比較するのも興味深いものです。
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・倶利伽羅峠と安宅関で辿る義経の悲劇
・有名古墳＆遺跡はココに注目
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Part.4 石川で育まれた文化や産業
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・人間国宝の数が日本一！石川県に息づく伝統工芸の土壌
・古九谷に込めた前田家の対抗心
・あの国宝は実は下絵だった!? 等伯の最高傑作『松林図屏風』
・三文豪が愛した犀川と浅野川
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・祭りのない金沢、祭り天国能登
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