延沢銀山の最盛期は、江戸時代の寛永年間（1624～1643年）です。1622（ 元和8）年に最上氏が改易となり、その領地は細分化されます。このうち山形に入封したのが譜代の鳥居忠政（とりいただまさ）で、幕府の命を受け、寛永年間初期に延沢銀山の採掘を積極的に行いました。

その後、延沢銀山並びに尾花沢領は幕領となり、代官と陣屋が置かれ、採掘された銀は江戸に送られます。これにより採掘量は増大し、延沢銀山は石見（いわみ）銀山や生野銀山とともに日本三大銀山に数えられたといいます。しかし、産出量は徐々に減り、1689（元禄2）年に大崩落が起きて廃山となってしまいます。現在は尾花沢市銀山新畑（ぎんざんしんはた）・六沢（ろくさわ）・延沢に銀山遺跡があり、坑道などを見ることができます。

廃山後、最盛期にはおよそ2万5000人を数えたという銀山周辺の人口は激減。代わって湯治が盛んになり、現地の人々は湯屋を生業とするようになりました。

銀山温泉の開湯は慶長年間（1596～1614年）で、鉱夫が銀山川に温泉が湧いているのを発見したのが始まりといいます。江戸時代の銀山温泉はなかなかの人気だったようで、江戸後期の「諸国温泉効能鑑（しょこくおんせんこうのうかがみ）」（温泉番付）にも「銀山湯」としてその名が記されています。

近代に入って、銀山温泉は宿が建ち並ぶ温泉街となりましたが、1913（大正2）年の大洪水で宿のほとんどが流されてしまいます。しかも少ない湧出量の温泉に川の冷たい水が流れ込み、温泉の人気は下降しました。ですが、昭和になるとボーリングによって湯量が増え、あわせて川沿いには新しく旅館がつくられました。その当時の建築物は現在も大切に保存され、そのノスタルジックな雰囲気から、銀山温泉は東北屈指の人気温泉地となっています。

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山形県の近代産業といえば製糸業ですが、鉱業も盛んでした。山形県域は約4分の3が山地で、火山も多い地域です。そして、火山活動にともなう金属鉱床が山形県内各地に多数形成されました。山形県内で産出された地下資源は金、銀、銅、鉛、亜鉛、ウランなど多岐にわたりますが、圧倒的に大きな比重を占めたのは亜炭と石炭。日本の近代化を陰で支え、戦時下では軍需生産体制に組み込まれます。しかし、これらの鉱山は1970年代までにほとんどが閉山・廃鉱となっています。

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