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青森の地形を山地から見る

山地に注目すると、青森県央部で南北に連なっているのが奥羽(おうう)山脈です。十和田山地、八甲田山地といった火山性の山々や夏泊(なつどまり)山地(半島)が該当し、その延長部に恐山(おそれざん)山地があります。また、青森県西には出羽山地北縁の白神山地、八戸市の南東部には非火山性の北部北上山地(階上(はしかみ)山地)の山々が連なります。

そして、奥羽山脈を境に、東部地域(南部地方)には粘性質の高いローム質の台地西部地域(津軽地方)には沖積低地と出羽(でわ)山地の延長にあたる津軽山地と、地形が大きく異なる特徴があります。

青森の地形を平野から見る

また、低地(平野)としては津軽平野が最大で、南北を山地に挟まれ、日本海側には砂丘が広がり、形状は南北に長い盆地状をしています。低地は青森市、八戸市、むつ市などにも分布。たとえば、青森県都・青森市が開けた青森平野には、中小の河川がつくった扇状地と海岸低地が広がっています。

青森の地形の基盤

なお、青森県の基盤はおもに、中生代ジュラ紀(約2億年前)、海洋プレートの沈み込みにともなって陸側へ付加したものと、白亜紀(1億4500万年)にできた深成岩(しんせいがん)とで構成されています。これは、八戸南東部と白神山地などに分布しています。

青森の特徴的地形

青森の特徴的地形①:南北に連なる火山群

奥羽山脈の活火山は、下北半島の恐山山地から八甲田山を経て栃木県の那須岳まで、南北に直線的に連なっています。その理由は、東に日本海溝があり、そこで太平洋プレートが沈み込んでいるためです。海溝で沈み込んだ海洋プレートは、深さ50㎞付近で含水鉱物が分解されると、絞り出された水が周囲の岩石の融点を下げて部分融解を始めます。そして、さらに深部で多量に融解し、マグマが生成されます。すると、液体のマグマは周囲よりも密度が低いため地中を上昇し、地下15㎞付近に一時的な貯蔵場所(マグマ溜まり)がつくられます。マグマ溜まりにさまざまな力が加わりマグマが表出すると、火山噴火となります。このメカニズムにより、日本海溝から西へ約300㎞エリアに、海溝と平行して火山列(火山フロント)が形成されるのです。

青森の特徴的地形②:恵比寿浜漁港の枕状溶岩

青森県南東部、蕪島(かぶしま)付近(八戸市)から種差(たねさし)海岸一帯、さらには岩手県との県境付近(階上町)の沿岸部にかけて中生代前期白亜紀、約1億3000万年前という恐竜時代の地層が分布しています。これは太古に活動していた火山の産出物(おもに溶岩と溶結凝灰岩)で、青森県において中生代白亜紀の地層を観察できるのはこのエリアのみです。そのうち、蕪島を南東方向に望む恵比寿浜(えびすはま)漁港付近では、海底火山の活動によってもたらされた枕状溶岩(まくらじょうようがん)を見ることができます。枕状溶岩とは、海底で噴出した溶岩が海水で急冷された結果、流動せずに円や楕円状の塊(枕状)が積み重なったものです。海底で形成されたものが、プレートの運動や隆起によって見えています。なお、ウミネコの繁殖地として知られる蕪島は、約1億3000万年前の海底火山から噴出した火山灰や火山礫が堆積したものです。

青森の特徴的地形③:幻の「津軽隕石クレーター」

2017(平成29)年3月、つがる市稲垣町の麦畑で、土地所有者が、積もった雪の一部がへこみ、周囲に土が散らばっている場所を発見します。雪解けを待って調べると、そこには直径約2m、深さも2m以上という大きな穴が出現。さまざまな観点から、上空からの落下物によってできた穴、あるいは、わが国初となる隕石クレーターではないかと期待されました。それを受けて5月、テレビ東京系の番組で、武蔵野大学の高橋典嗣特任教授を中心としたグループが現地を調査。隕石が貫入した角度の計測や深度推定などのトレンチ調査、大型重機を使って深度9mまでの掘削調査を行いました。しかし、クレーターであることの証左となる隕石発見には至りませんでした。より深部に眠っているのか。宇宙からのロマンは尽きません。

青森県の化石「アオモリムカシクジラウオ」

1970(昭和45)年、青森市を流れる荒川上流で、保存状態が良好の深海魚化石が見つかります。発見された地層は、日本海が開けた頃にあたる約1500万年前(新生代新第三紀中新世)に堆積した凝灰質泥岩で、当時そこが深海だったことを意味しています。

化石の調査の結果様々な事が判明

時を経て、2000(平成12)年から化石の分析・研究が詳細に行われた結果、これが深海魚「クジラウオの仲間」としては世界唯一、新種の化石と判明。ちなみにクジラウオとは、小さな目と大きな口が特徴的な頭部が「クジラ」に似ていることから、そう呼ばれています。この古代の深海魚は、2007(平成19)年に「アオモリムカシクジラウオ」と命名され、2016(平成28)年には日本地質学会が「青森県の化石」に選定しています。

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から青森県を分析!

青森県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。秋田の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く青森の大地

・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち

・・・など

Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網

・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道

・・・など

Part.3 青森で動いた歴史の瞬間

・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく

・・・など

Part.4 青森で育まれた産業や文化

・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった

・・・など

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