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上北平野に刻まれた段丘はどのようにしてできたのか

日本の海岸平野には第四紀(約258万年前から現在まで)後期から中期にかけて形成された海成段丘が広く分布しており、上北平野も海抜200m以下の地域にいくつもの海成段丘面が発達しています。

上北平野の段丘区分

上北平野の海成段丘は大きく6 段に区分され、高いもの(古いもの)から、高位面、七百(しちひゃく)面、天狗岱(てんぐたい)面、高館面、根城面、柴山面と呼ばれています。

上北平野の段丘は海水準の上下で生まれた

これらの海成段丘は、上下する海水面の侵食によって形成されました。温暖期には極地などの氷が溶けて海水面が上昇し、寒冷期は逆に海水面が下降します。最近の100万年間では、約10万年ごとに温暖期と寒冷期が繰り返されていることがわかっています。この気候変動とともに海水準は上昇・低下を周期的に繰り返し、海成段丘が形成されたのです。

上北平野の段丘面はそれぞれで構成している物質が異なる

七百面は海浜の砂だけでできた層ですが、天狗岱面と高館面はそれぞれ侵食谷(河川や氷河の侵食作用によってつくられた谷)に堆積した粗い内湾性の砂や泥の層と、それを覆う海浜の砂の層でできています。太平洋沿いに広く分布する高館面は、約13万~12万年前の最終間氷期という温暖な時期に形成されたと見られ、層の上下で段丘を構成している物質が違うのは、この時期に海水面の変化があったからだと考えられています。

小川原湖沼群の歴史と成り立ち

上北平野の東には、小川原湖をはじめ、田面木(たもぎ)沼、市柳(いちやなぎ)沼、鷹架(たかほこ)沼、尾駮(おぶち)沼といった湖沼群があります。
小川原湖湖沼群は、十和田湖のように火山活動によってできたカルデラ湖ではなく、入江の一部が海面の低下と湾口の砂州(さす)によって外海から隔てられた潟湖(せきこ)です。湖沼群のなかでもっとも大きな湖・小川原湖は、高瀬川を通じて太平洋とつながっており、潮の満ち引きによって、海水が湖に逆流する汽水湖です。
これらの湖沼群がいつ頃できたのかははっきりしていませんが、今から約3000年前の縄文時代後期から、世界的な寒冷化が起きます。これにより海面が下がっていき内海が後退、湾口が海岸砂丘の発達によって狭められ、少しずつ現在のような湖になっていったものとされています。

小川原湖に残された三角州

小川原湖の水深2~5mのところには、幅500m前後の緩斜面が舌状に張り出しているエリアがあります。その地形は、かつての湖の水位が現在より約2m低かった時期に形成された三角州であり、それが湖水の上昇により湖の中に残された「沈水三角州」だと考えられています。

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Part.1 地図で読み解く青森の大地

・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち

・・・など

Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網

・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道

・・・など

Part.3 青森で動いた歴史の瞬間

・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく

・・・など

Part.4 青森で育まれた産業や文化

・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった

・・・など

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