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【江戸時代の福島・中通り】中小規模の藩や天領を幕府重臣が統治

中通りには、中小規模の藩や天領(幕府直轄領)が置かれました。代表的な藩としては福島藩、二本松藩、白河藩、棚倉(たなぐら)藩などが挙げられます。白河藩には当初は外様の丹羽氏が入っていましたが、奥州の玄関口を守る重要性から徳川譜代や親藩大名が藩主になっていきました。

久松松平家の松平定信は、白河藩主時代に天明の大飢饉(1783~1787年)に直面しますが、危機的な状況から藩政を立て直しました。その手腕を高く評価され、11代将軍・家斉の治世下で老中首座(ろうじゅうしゅざ)・将軍補佐となり、寛政の改革を行いました。

【江戸時代の福島・浜通り】盤石の相馬中村藩と不安定だった磐城平藩

浜通りでは、北部に相馬中村藩が成立します。藩主の入れ替わりの多い江戸時代にあって、中村藩は開幕当初は外様大名でありながら、のちに譜代格の扱いを受けるようになり、幕末まで存続します。

浜通りの南部には岩城氏に代わって鳥居氏が入り、地名を飯野平(いいのたいら)から磐城平(いわきたいら)へと改称しました。磐城平藩は鳥居氏以降に内藤氏、井上氏、安藤氏と領主が代わり、そのたびに領地を削減されていきます。

幕藩体制下の大名配置

幕藩体制下の大名配置
『図説 福島県の歴史』(河出書房新社、1989年)を元に作成

徳川幕府の下で、大名の配置がほぼ固まった1670(寛文10)年頃の福島県域。

福島に会津藩以外の大藩ができなかった理由とは

以上のように、江戸時代の福島県域には、会津藩以外に大藩は成立せず、天領や他藩の飛領(とびりょう)などが混在していました。江戸に近い場所に強力な支配者を生むわけにはいかなかった幕府の思惑がうかがえるでしょう。

福島県域で発展した産業

戦乱が収まった江戸時代には、産業や文化が大きく発展しました。

会津地方では酒や漆器の生産が盛んになり、現代でも会津の特産品として受け継がれています。浜通りでは漁業が盛んになり、アワビ、イワシ、カツオなどが水揚げされました。中通りの北部では織物業が発達し、江戸時代が進むと養蚕や絹織物も手がけるようになります。中通り南部では葉タバコが生産されました。

このように、江戸時代に各地方の独自色が形成されていったのです。

福島県域は交通の要所として街道沿いを中心に繁栄

また、東北諸藩は参勤交代の折に福島県域を往来・宿泊したので、街道沿いの地域は賑わっていきました。さらに阿武隈川の舟運が発達したことで商品流通も盛んになり、福島県域は活況を呈すようになります。

江戸時代中期以降には年貢に苦しむ農民による百姓一揆も

しかし、江戸時代中期以降に幕府や諸藩は財政難と度重なる天災で疲弊し、庶民に課せられる年貢は厳しくなりました。18世紀以降には農民が団結し、年貢軽減などを訴える百姓一揆を起こすのでした。

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Part.1:地図で読み解く福島の大地

・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔

などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網

・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線

などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3:福島で動いた歴史の瞬間

・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで

などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。

Part.4:福島で育まれた産業や文化

・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?

などなど福島の発展の歩みをたどる。

ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など

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