フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  九州・沖縄 > 鹿児島県 >

鹿児島の地質の特徴「四万十帯」とは?

地質に目を向けると、鹿児島本土には新生代の火成岩類が広く分布し、主としてその基盤をなしているのが約1億年前(中生代白亜紀)から約3000万年前頃(新生代古第三紀)にかけて形成された四万十帯(しまんとたい)(四万十層群(そうぐん))です。

四万十帯は、琉球列島から遠く関東山地まで約1300㎞、最大幅100㎞にわたり続く地質帯で、プレート運動で生じた典型的な付加体(ふかたい)です。付加体とは、海洋プレートが大陸プレートに沈む込む際、海洋プレートの一部が引きはがされ、陸側にくっついてしまったものをいいます。

鹿児島の地質の特徴「四万十帯」の分布

四万十帯は、断層(延岡衝上(のべおかしょうじょう)断層)によって白亜紀の北帯と古第三紀の南帯に二分されています。その断層は、宮崎県の延岡市から宮崎・熊本県境の市房山(いちふさやま)を経て、熊本県(人吉市から南進、大隅半島にある高隈山(たかくまやま)の東方を通ると推定されています(断層の西が北帯、東が南帯)。

他方で、県北部の長島町や甑島(こしきじま)には、白亜紀〜古第三紀の堆積岩が局部的に分布しています。

鹿児島の地質の特徴「シラス」とは?

そして、鹿児島県域(本土の5割超)を覆っているのがシラスです。これは主として、約2万5000年前、姶良火山の大噴火で発生した入戸火砕流(いとかさいりゅう)と姶良火山灰の堆積物です。

鹿児島の地形「姶良カルデラ」と「若尊カルデラ」

姶良カルデラは約2万9000年前、姶良火山(流紋岩質マグマ)の噴火活動にともない陥没しました。約20㎞四方のいびつな四角形をしており、鹿児島湾の奥(桜島以北)に位置します。

桜島を中心に置いて北東部に位置する若尊カルデラは姶良カルデラとその周辺で最も水深が深く、ここが姶良火山の主要な噴火地点と推定されています。若尊カルデラの海底やカルデラ東部の海丘では、噴気活動により海面に泡が湧出する「たぎり」と呼ばれる現象が見られます。

鹿児島の特徴的な地形

鹿児島の地形①:丸尾滝

丸尾温泉から霧島神宮に向かう国道223号近く(霧島市牧園町高千穂)、天降川(あもりがわ)にかかる高さ約23m、幅約16mの滝霧島火山群のただ中にある滝らしく、柱状節理に沿って流れ落ちています。柱状節理とは、溶岩が冷え固まり縮む際に生じる、五角形や六角形の柱状の割れ目です。

また、天降川上流の栄之尾温泉や硫黄谷温泉の温泉水が流下している湯の滝でもあり、温泉成分が混入しているため滝壺が青白くなっています。

鹿児島の地形①:丸尾滝

丸尾滝

住所
鹿児島県霧島市牧園町高千穂丸尾
交通
JR日豊本線霧島神宮駅から鹿児島交通霧島いわさきホテル行きバスで30分、丸尾下車、徒歩7分
料金
情報なし

鹿児島の地形②:野間半島

薩摩半島南西端に位置し東シナ海へ突き出た小さな半島で、白亜紀に形成された川辺層群(砂岩・頁岩)、中新世中期の花崗岩類、中新世後期の南薩層群や安山岩などからなります。東部には、阿多南部カルデラから流出した阿多火砕流(約11万年前)でできた溶結凝灰岩が分布します。

なお、半島はかつて離れ島でしたが、風波により吹き寄せられた砂が堆積し、本土と島をつなぐトンボロを形成。やがて本土と地続きになった陸繋島です。

鹿児島の地形③:曽木の滝

伊佐市を流れる川内川中流にかかる高さ約12m、幅約210mの滝。滝が流れるエリアは、約33万年前、霧島火山の北西部から噴き出した大規模火砕流、加久藤(かくとう)火砕流堆積物でできた溶結凝灰岩でできています。比較的やわらかい岩石で、河床にはたくさんのポットホール(甌穴)が見られます。それは、河床の窪みに挟まった石が、水流の力で長期間にわたり回転することによって削られた穴です。

滝周囲には、柱状節理も発達しています。また、一帯は「曽木の滝公園」として整備されており、遊歩道などから滝や岩石を観察できます。

鹿児島の地形③:曽木の滝

曽木の滝

住所
鹿児島県伊佐市大口宮人628
交通
JR九州新幹線新水俣駅からタクシーで50分
料金
情報なし

鹿児島の地形④:桜島

桜島は、姶良カルデラの南縁部に誕生した、おもに普通輝石・シソ輝石安山岩の溶岩と火砕物からなる成層火山。烏島展望所付近からは桜島の主峰・御岳(北岳・中岳・南岳)を望むことができます。

周辺のごつごつした岩塊はすべて大正溶岩で、1914(大正3)年の噴火で噴出した安山岩溶岩です。

なお、烏島展望所は、大正溶岩で埋もれた島「烏島」の上に建てられました。周辺には現在、クロマツの林が広がっています。

鹿児島の地形④:桜島

桜島

住所
鹿児島県鹿児島市桜島横山町
交通
桜島港からすぐ
料金
情報なし

鹿児島の地形⑤:佐多岬

大隅海峡に面する九州本島最南端の岬。北東方向から伸びてきた大隅半島が徐々に狭まって海へと没する場所で、エリアはおもに古第三紀に深海で堆積してできた日南層群からなります。

100mほど沖合に浮かぶ大輪島(おおわじま)には、1871(明治4)年竣工、日本最古級の灯台のひとつ「佐多岬灯台」があります(空襲で焼失後も戦後に再建)。

鹿児島の地形⑤:佐多岬

佐多岬

住所
鹿児島県肝属郡南大隅町佐多馬篭416
交通
垂水港からタクシーで1時間30分
料金
無料

『鹿児島のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から鹿児島県を分析!
鹿児島県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。鹿児島の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く鹿児島の大地

・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬

…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。

Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網

・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線

…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。

Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間

・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰

…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。

Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化

・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?

…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。

『鹿児島のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  九州・沖縄 > 鹿児島県 >

この記事に関連するタグ