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三蟠鉄道のはじまりと時代背景

旭川の河口にある三蟠港は、江戸時代から明治後期まで岡山県の主要外港として繁栄していましたが、1910(明治43)年の宇野港(玉野市)開港により衰退していきます。当時、鉄道は重要なインフラとして、国が法を制定、軽便鉄道敷設を後押ししていました。そこで村長や地域の有志たちが港周辺の再活性化を目指し、1914(大正3)年2月1日に三蟠鉄道株式会社を設立。鉄道を敷設し、旅客や貨物を運ぶ混合列車を走らせたのが、その始まりです。三蟠駅~桜橋(さくらばし)駅の開業は1915(大正4)年8月11日。桜橋駅の近くには岡山瓦斯(ガス)株式会社や鐘紡(かねぼう)岡山工場があり、石炭を輸送するための引き込み路線もありました。

三蟠鉄道は多くの人々の生活の足として活躍

1923( 大正12)年2月5日に全線が開通します。湊駅~桜橋駅までの間に分岐点を設け、湊駅~国清寺駅までの路線延長が実現しました。それに伴い、輸送人員は増加。一時は年間10万人超となるなど、多くの人々が生活の足として利用していました。

三蟠鉄道は旅客利用率が高かった

三蟠軽便鉄道の路線にある計9駅はいずれも、寺社や史蹟などがある場所の近くに設営されました。特に「宮道(みやみち)駅」には、名前の通り沖田神社へ通じる参道という役割があり、また旭川の河口にある宮道海水浴場の最寄り駅であったことから高い旅客利用率でした。実は宮道海水浴場の運営も三蟠鉄道が担当しており、その他にも水族館を開館するなど、多角経営を行っていました。

旭川に沿って線路がありました。

三蟠鉄道が廃線になった経緯

1931(昭和6)年になると、旭川に巡航船が運航され始め、徐々に鉄道の乗客数が減少します。石炭を工場前まで直接運べる小型船舶や通勤の足としてのバスの普及、昭和に入ってからの都市計画による交通網の整備などにより、三蟠鉄道はその役割を徐々に失っていきました。さまざまな要因が重なり、三蟠鉄道は1931(昭和6)年6月28日に運転を終了。わずか15年10カ月余りで廃線となったのです。

三蟠鉄道の歴史は現在も語り継がれている

現在、鉄道が走っていた面影を残す場所はごくわずかですが、開通100周年を迎えた2015(平成27)年には記念イベントが行われ、地域の発展を支えた三蟠鉄道の歴史を後世に伝える取り組みが続けられています。

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1945年(昭和20年)の終戦以降に廃止となった鉄道路線を地図上に表示。かつての路線網の充実ぶりに驚かされます。各廃線にも解説コメントを添えるのはもちろんのこと、歴史的価値の高い建造物や橋梁、隧道(トンネル)などの遺構群のプロットにも注力。日本の発展とともに歩んだ鉄道の歴史を、地図を辿りながら読み解きます。

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・山から貝の化石がとれる不思議
・その大きさは世界2位! 児島湖はなぜ造られたのか?
・「晴れの国岡山」は「天文王国おかやま」だった!
・笠岡市がカブトガニ有数の生息地になった理由

…などなど岡山のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岡山を走る充実の交通網

・瀬戸大橋が鉄道と併用できた理由
・西日本唯一の臨海鉄道線「水島臨海鉄道」の変遷を知る
・わずか16年で廃線になった、幻の三蟠鉄道
・津山扇形機関車庫から見る、岡山県の鉄道の歴史
・山陽新幹線は岡山発が多い?交通の要所・岡山駅のスゴさ
・日本で最も短い路面電車が地元で愛される理由

…などなど岡山ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 岡山で動いた歴史の瞬間

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Part.4 岡山で生まれた産業や文化

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・刀工集団・長船派は、どのようにして生まれたのか

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