鹿児島本土に目を移すと、約2万9000年前に現在の鹿児島湾奥部（姶良（あいら）カルデラ）で巨大噴火が起き、そのときの入戸火砕流（いとかさいりゅう）などによってシラス台地が形成されました。

鹿児島県内の地層はシラス層の上か下かで時代が特定でき、たとえば上場遺跡（うわばいせき：出水市）では六つの文化層のうち、シラスの下にある層（第六文化層）からは旧石器時代の石器が出土しています。上層ほど時代が新しく、第二文化層からは爪形文土器（つめがたもんどき）が、第一文化層からは縄文土器が出土しました。

鹿児島本土では縄文時代から人々が定住した痕跡が確認されており、約9500年前の上野原遺跡（うえのはらいせき：霧島市）は鹿児島県内最古級の大型の定住集落であったのです。

縄文時代晩期から弥生時代中期にかけての貝塚・高橋貝塚（南さつま市）からは、籾痕のある土器など、稲作農耕の道具が出土しており、弥生時代前期にはすでに鹿児島県域に稲作及び弥生文化が伝来していたものと考えられます。

ただし、鹿児島本土の約半分を占めるシラス台地では耕作が難しく、畑作と稲作の両方が行われていたようです。

やがて畿内（きない）に興ったヤマト王権（中央府）が九州まで伸長すると、古代の南九州に居住したとされる熊襲（くまそ）は、4～5世紀にかけて中央府に抵抗しました。『古事記』や『日本書紀』では、景行天皇やヤマトタケルによる熊襲討伐が行われたとされています。

熊襲が姿を消し、かわって隼人が鹿児島の地に出現。中央府と結びついた首長の支配領域では、唐仁大塚古墳（とうじんおおつかこふん：肝属（きもつき）郡東串良（ひがしくしら）町）や神領古墳群（じんりょうこふんぐん：曽於（そお）郡大崎町）のように、前方後円墳が造営されました。

いっぽう、宮崎県南部から鹿児島県東部にかけての地域では、独自の墓制も見られます。それが地下式横穴墓と板石積石棺墓（いたいしづみせっかんぼ）です。

前者は地面に堅穴を掘ったあと、さらに横穴を掘る埋葬施設のことで、神領古墳群や岡崎古墳群（鹿屋（かのや）市串良町）などで発見されています。後者は地面に円形か方形の穴を掘り、板状の石で蓋をする形式の埋葬方法で、別府原古墳群（びゅうばるこふんぐん：薩摩郡さつま町）や永山古墳（姶良郡湧水（ゆうすい）町）などで確認されています。これらはかつて「隼人の墓制」と考えられていましたが、現在ではその説は否定されつつあります。

8世紀には大隅国府や薩摩国府が置かれ、隼人は律令国家に組み入れられ、薩摩国でも大規模な荘園（しょうえん）がつくられていきます。

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