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グスク時代から人口が増加し大規模な村落共同体となる

農耕文化が根づいたことにより人口が増加し、集落に富が集積され、集落はやがて規模の大きな村落共同体へと発展します。

グスク時代から貿易がはじまり勢力抗争が起こりはじめる

グスク遺構からは12世紀頃の中国製の陶磁器が出土しており、宋(そう)代から貿易が始まっていたと考えられています。
共同体に富が蓄積されると、各地域を統治する指導者が誕生。指導者に率いられた集団は勢力抗争を繰り広げるようになり、より強大な「按司(あじ)」と呼ばれる権力者が生まれるのでした。

グスク時代の象徴であるグスクは按司の城砦として使われていた

グスクには聖域、集落、居館など用途に応じてさまざまな種類があったとされていますが、13世紀には城塞としてのグスクが登場します。按司は丘陵上の要害地にグスクを築き、抗争の激化にともなって石を積み上げて増築を繰り返し、城砦化を進めます。按司はこのようなグスクを拠点として周辺地域を支配し、複数の集落を束ねて地方豪族化していったのです。

按司同士の対立と抗争を経て、やがて複数の按司を統治する強大な権力者が誕生し、彼らは「世の主」や「テダ(太陽)」と呼ばれます。

グスク時代に3つの小国家が鼎立

14世紀には沖縄島の北部に今帰仁(なきじん)グスクを拠点とする北山(ほくざん)王国、中部に浦添(うらそえ)グスクを拠点とする中山(ちゅうざん)王国、南部に島尻大里(しまじりおおざと)グスクを拠点とする南山(なんざん)王国が成立し、3つの小国家が鼎立(ていりつ)するようになります。

三山時代の始まり

これが「三山時代」の始まりです。この3王国の領地は沖縄島の地域区分として定着していき、1896(明治29)年に郡制が施行されたときに導入された3郡(中頭(なかがみ)、国頭(くにがみ)、島尻)にほぼ重なっています。

グスク時代の三山グスク分布

グスク時代の三山グスク分布
参照:沖縄県立図書館の資料ほか

グスク時代の最盛期には、沖縄島だけで300ものグスクが存在したとされています。14世紀に入り、今帰仁を中心とする北山、浦添を中心とする中山、島尻大里を中心とする南山の3つの勢力が対立する「三山時代」を迎えます。

グスク時代の明との君臣関係

沖縄が三山時代に突入したのと同時期に、中国では朱元璋(しゅげんしょう)(洪武帝(こうぶてい))によって元(げん)にかわる明(みん)が建国されました。明皇帝は明を中心とした国際秩序を構築するために周辺地域に対して朝貢を求め、1372年、中山王の察度(さっと)は弟を明に派遣。1380年には南山王、1383年には北山王が入貢しました。

明の冊封国

明皇帝は、朝貢に応じた首長をその地域における政治的権力者として認めます。この君臣関係を冊封(さくほう)といい、冊封国は宗主国に朝貢(その土地の産物を献上)するかわりに、宗主国からの軍事的脅威にさらされなくなり、宗主国の権威を背景に周辺地域に対して政治的優位性を保つことができました。

グスク時代の三山時代は明との関係を維持し100年続いた

また、宗主国から返礼品を受け取ったり、宗主国との貿易が許可されたりと、冊封国には多大な利益がもたらされました。3王国はこうした恩恵を求めて朝貢したのです。なお、1404年に明の永楽帝(えいらくてい)が察度王統の2代・武寧(ぶねい)に冊封使を派遣し、武寧を中山王に冊封したのが琉球での最初の冊封とされています。

3王国は明との関係を築き、この三山時代は100年ほど続くのでした。

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Part.1 地図で読み解く沖縄

・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。

Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網

・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道

…などなど沖縄の交通事情を解説。

Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間

・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?

…などなど沖縄の歴史を徹底解説。

Part.4 沖縄で育まれた産業や文化

・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄

…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。

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