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熊本一級河川①:菊池川〔延長71㎞、流域面積996㎢〕

阿蘇外輪山の尾ノ岳(おのだけ)(標高1041m)南麓から流れ出し、上流の菊池渓谷を経て西に向かい、玉名郡和水町(たまなぐんなごみまち)北部で南へ大きく方向を変えて、玉名市市街地南部をかすめて有明海に注いでいます。河口付近に広がる菊池平野(玉名平野とも呼ぶ)は約50㎢で、そのうち約70%は江戸時代以降の干拓事業で広げられたものです。

熊本一級河川②:白川〔延長74㎞、流域面積480㎢〕

白川は阿蘇山の根子岳(ねこだけ)(標高1433m)から流れ出し、阿蘇山カルデラの南部「南郷谷(なんごうだに)」を西に流れ、立野(阿蘇郡南阿蘇村)で、カルデラの北側「阿蘇谷」を流れる支流の黒川と合流。急流となって上中流域を抜けた後、熊本市市街部を南北に分かれて貫流し、有明海に注ぎ込みます。

熊本一級河川③:緑川〔延長76㎞、流域面積1100㎢〕

緑川は、宮崎県境の向坂山(むこうざかやま)(標高1684m)および小川岳(おがわだけ)(標高1542m)の西麓が源流で、西に向かった後、上益城郡甲佐町(かみましきぐんこうさまち)で北西方向に流れを変え、上益城郡嘉島町(かしままち)南部で熊本平野に出て再び西に向かった後、宇土半島の北側基部から有明海に注いでいます。

前述の白川とこの緑川の2つの川がつくったのが、広さ約775㎢の熊本平野です。熊本市内を流れるだけに、古くから洪水を防ぐために幾度も治水工事が行われてきましたが、加藤清正が隈本城(くまもとじょう)(のちの熊本城)に入城後、治水工事に取り掛かったのを手始めに、利水・干拓事業を行ったことはよく知られています。

熊本一級河川④:球磨川〔延長115㎞、流域面積1880㎢〕

球磨川の源流は、球磨郡水上村の石楠越(しゃくなんごし)(標高1391m)および水上越(みずかみごし)(標高1458m)で、市房ダムまで南流したのち、人吉盆地に入ると西に向きを変えて流れ、川辺川(かわべがわ)などの支流と合流しながら、最後は八代海に流れ込んでいます。熊本県内最大の川で、かつては川船によるヒトやモノの輸送ルートとして貴重な役割を果たしてきました。しかし、最上川(もがみがわ)(山形県)、富士川(長野、山梨、静岡県)と並ぶ日本三大急流で、たびたび水害を起こしてきた歴史があります。この球磨川によってできたのが広さ約230㎢の八代平野ですが、約3分の2は、江戸時代以降に干拓によって造成された土地で、耕作地や臨海工業地帯の工業用地として使われています。また、河口付近には、1000haを超す干潟が形成されており、日本の重要湿地500と重要野鳥生息地に選ばれています。

熊本の一級河川は大きな洪水が多い?

しかし、球磨川をはじめ、これらの河川はしばしば流域の人々に対して牙を剝き、歴史に残る洪水を繰り返してきました。直近では、2020年7月3日から7月31日にかけての「令和2年7月豪雨」で、球磨川水系の八代市、葦北郡芦北町(あしきたぐんあしきたまち)、球磨郡(くまぐん)球磨村、人吉市、球磨郡相良村(さがらむら)の計13カ所で氾濫・決壊し、約1060haが浸水、死者65人、行方不明者2人(2021年2月26日時点)が出たことは記憶に新しいです。

いったいなぜ、熊本はこれほど大きな洪水に見舞われるのでしょうか? その理由は、九州山地に東シナ海からの温かい湿った空気がぶつかり、それによって上昇気流が発生することで局地的な大雨がもたらされ、熊本県内を流れる河川に急激に流れ込むため、氾濫が起きやすいからだとされています。

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Part.1 地図で読み解く熊本の大地

・激しい地殻運動が生んだ熊本県の変化に富んだ地形
・御船町でさまざまな恐竜の化石が発見されるのはなぜか?
・阿蘇で今も語り継がれる「健磐龍命蹴裂伝説」の謎
・南北に分断された九州がひとつになった理由とは?
・4つの川は熊本にとって恵みの存在なのか?
・ちょっと不思議な天草諸島の地形はどうやってできたのか?
・熊本は「火の国」ではなく、実は「水の国」だった!?

…などなど熊本のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 熊本を駆け抜ける鉄道網

・熊本の物流を支える鉄道はどうやってつくられたのか?
・熊本電鉄の路線で、“懐かしの車両”に出合えるのはいったいなぜなのか?
・2020年7月豪雨で存亡の危機に! 果たして肥薩線は復活できるのか?
・全線不通から全線開通は可能か? くま川鉄道と南阿蘇鉄道の挑戦は続く
・熊本を走る観光列車のいろいろ。その歴史と魅力を知っておこう!
・九州新幹線の開通で人の流れは変わったのか?

…などなど熊本ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 熊本で動いた歴史の瞬間

・旧石器時代の沈目遺跡の打製石器は誰がつくったのか?
・弥生時代の熊本は鉄器製造の一大産地だった!?
・菊池を450年にわたって支配した大豪族・菊池氏の正体は?
・肥後を支配した守護代「大友氏」の壮絶な家督争いとは?
・加藤清正が「セイショコさん」と呼ばれ、今でも熊本県民に慕われるワケは?
・西南戦争における最大の激戦「田原坂の戦い」とは?
・軍都へと変貌していった熊本県と熊本城の運命は?

…などなど、激動の熊本の歴史に興味を惹きつける。

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