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熊本の弥生時代後期では一般的に鉄器が普及

当時、鉄器は非常に貴重なもので、日本には生産する技術はなかったと考えられており、斉藤山遺跡や曲り田遺跡から発見された鉄器の材料となった鉄は、中国大陸で鋳造されたものが日本に渡ってきたものだろうとされています。しかし、その後、日本にも鉄そのものをつくる技術が伝わってきました。たとえば、西弥護免遺跡(菊池郡大津町大字大津)や方保田東原遺跡(山鹿市方保田字東原)からは、大量の青銅器と共に鉄器が発掘されたほか、鉄器工房跡も発掘されています。

方保田東原遺跡は、熊本県北部の菊池川とその支流の方保田川に挟まれた標高35mの台地上に広がる、弥生時代後期から古墳時代前期に繁栄した大集落の跡です。

熊本の弥生時代後期では一般的に鉄器が普及

さらに時代が進み、弥生時代後期になると、阿蘇カルデラ周辺にも多くの人々が住みつくようになり、そのあたりの遺跡からも鉄器が数多く発見されるようになります。たとえば、阿蘇市狩尾(かりお)の狩尾遺跡群(湯ノ口遺跡、方無田(かたむた)遺跡、前田遺跡、池田古園遺跡)では、多くの住居跡から、鏃や棒状の鉄片や扁平な鉄片が発見され、当時としては貴重なものではあったものの、一般的に鉄器が普及していたことがわかってきています。

熊本の弥生時代は鉄器の一大生産地だった

また、阿蘇市三久保(みくぼ)の下扇原(しもおうぎばる)遺跡で約1500点もの鉄器が出土したほか、阿蘇郡高森町の幅(はば)・津留(つる)遺跡からも約700点の鉄器が出土しており、弥生時代の熊本県はかなり早い時期から、日本有数の鉄器の生産地であり、最先端技術を誇る職人集団がいたのではないかとされています。

弥生時代の熊本で鉄器生産が発達した理由

この地で鉄器の生産が発達したのは、周囲の阿蘇黄土から、鉄の材料となる褐鉄鉱(かってつこう)(リモナイト)が産出したためだと考えられています。人々はこれを元に赤色顔料であるベンガラを生成、他の地域と交易していたこともわかっており、それらの地では、褐鉄鉱を原料として鉄製錬が行われていた可能性も高いと指摘されています。

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Part.1 地図で読み解く熊本の大地

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・御船町でさまざまな恐竜の化石が発見されるのはなぜか?
・阿蘇で今も語り継がれる「健磐龍命蹴裂伝説」の謎
・南北に分断された九州がひとつになった理由とは?
・4つの川は熊本にとって恵みの存在なのか?
・ちょっと不思議な天草諸島の地形はどうやってできたのか?
・熊本は「火の国」ではなく、実は「水の国」だった!?

…などなど熊本のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 熊本を駆け抜ける鉄道網

・熊本の物流を支える鉄道はどうやってつくられたのか?
・熊本電鉄の路線で、“懐かしの車両”に出合えるのはいったいなぜなのか?
・2020年7月豪雨で存亡の危機に! 果たして肥薩線は復活できるのか?
・全線不通から全線開通は可能か? くま川鉄道と南阿蘇鉄道の挑戦は続く
・熊本を走る観光列車のいろいろ。その歴史と魅力を知っておこう!
・九州新幹線の開通で人の流れは変わったのか?

…などなど熊本ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 熊本で動いた歴史の瞬間

・旧石器時代の沈目遺跡の打製石器は誰がつくったのか?
・弥生時代の熊本は鉄器製造の一大産地だった!?
・菊池を450年にわたって支配した大豪族・菊池氏の正体は?
・肥後を支配した守護代「大友氏」の壮絶な家督争いとは?
・加藤清正が「セイショコさん」と呼ばれ、今でも熊本県民に慕われるワケは?
・西南戦争における最大の激戦「田原坂の戦い」とは?
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