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熊本の古墳分布からみる向野田古墳への違和感

一方、これまでにわかっている熊本県における古墳時代前期の集落跡の分布をみると、菊池川中流域では多くの集落跡が発見され、農耕も盛んだったことがわかっているのに対し、宇土半島の基部には大規模集落の跡は発見されていません。つまり、古墳時代前期、向野田古墳があった宇土半島基部は、まだまだ人の少ない辺境の地だったと考えられます。

そんなところになぜ、古い時代の前方後円墳が集中しているのでしょうか?

参考資料:古代学学術研究センター『前方後円墳データベース』

向野田古墳は侵略から守るためのシンボル?

それは当時の人々にとって、向野田古墳があるあたりが自分たちが完全に支配下におさめていた世界と支配できない外界との境界線にあたっていたことから、自分たちの支配圏を象徴し、外界からの侵略から守るためのシンボルとして前方後円墳を築いたのではないかとする研究者もいます。

古墳時代はまさに古墳とともにあった

また、向野田古墳が築かれてから100年以上経った、5世紀末から6世紀初頭に築かれたとされる江田船山(えたふなやま)古墳(玉名郡和水町瀬川)からは、日本最古の本格的記録文書である75文字の銀象嵌(ぎんぞうがん)銘をもつ大刀(鉄刀)が出土しています。この古墳の被葬者は雄略(ゆうりゃく)大王に仕えたムリテという名の文官だったと考えられていますが、『記紀』によれば、雄略大王は反抗的な地方豪族を武力でねじ伏せ、帝権を飛躍的に拡大させたと伝えられており、日本の支配構造が大きく変わりゆく時期を象徴していると言えるかもしれません。

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Part.1 地図で読み解く熊本の大地

・激しい地殻運動が生んだ熊本県の変化に富んだ地形
・御船町でさまざまな恐竜の化石が発見されるのはなぜか?
・阿蘇で今も語り継がれる「健磐龍命蹴裂伝説」の謎
・南北に分断された九州がひとつになった理由とは?
・4つの川は熊本にとって恵みの存在なのか?
・ちょっと不思議な天草諸島の地形はどうやってできたのか?
・熊本は「火の国」ではなく、実は「水の国」だった!?

…などなど熊本のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 熊本を駆け抜ける鉄道網

・熊本の物流を支える鉄道はどうやってつくられたのか?
・熊本電鉄の路線で、“懐かしの車両”に出合えるのはいったいなぜなのか?
・2020年7月豪雨で存亡の危機に! 果たして肥薩線は復活できるのか?
・全線不通から全線開通は可能か? くま川鉄道と南阿蘇鉄道の挑戦は続く
・熊本を走る観光列車のいろいろ。その歴史と魅力を知っておこう!
・九州新幹線の開通で人の流れは変わったのか?

…などなど熊本ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 熊本で動いた歴史の瞬間

・旧石器時代の沈目遺跡の打製石器は誰がつくったのか?
・弥生時代の熊本は鉄器製造の一大産地だった!?
・菊池を450年にわたって支配した大豪族・菊池氏の正体は?
・肥後を支配した守護代「大友氏」の壮絶な家督争いとは?
・加藤清正が「セイショコさん」と呼ばれ、今でも熊本県民に慕われるワケは?
・西南戦争における最大の激戦「田原坂の戦い」とは?
・軍都へと変貌していった熊本県と熊本城の運命は?

…などなど、激動の熊本の歴史に興味を惹きつける。

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