初代藤原清衡は、中尊寺を建立し、金色堂を建て、5000巻を超える写経（紺紙金銀字交書一切経）をし、父や兄弟、兵士らの菩提を弔いました。「東北を仏国土にする」というのが藤原清衡の願いであったといわれます。

その願いを引き継いだのが、二代藤原基衡（もとひら）でした。領土は広がり、中尊寺の整備が進み、当時国内随一といわれるほどの規模と美しさを誇った毛越寺（もうつうじ）も築かれました。拠点であった平泉のまちの整備も進んだのです。

政治力もあり、朝廷との関係を良好に保っていたと考えられます。

三代秀衡は、藤原清衡も基衡もなれなかった陸奥守に就任しました。代々、陸奥守は都から派遣される最高官職であったから、これは異例のことです。名実ともに藤原家は、東北の覇者になったといえるでしょう。

源義経が兄・頼朝の追捕を逃れ、この地に至ったのは秀衡の時代です。秀衡は快く義経をかくまいましたが、1187年の冬、病で死んでしまいます。

後を継いだ四代・泰衡（やすひら）は、頼朝の強い圧力に屈し、とうとう義経を討って、その首を頼朝のもとに送ったといわれます。

しかし頼朝は、藤原家の討伐を命じました。平泉の政庁は頼朝の軍によって灰燼に帰し、泰衡は現在の秋田県付近まで逃れましたが、結局、家来に殺害されたといわれます。およそ百年続いた奥州藤原家の支配は、1189（文治5）年、四代泰衡の死とともに幕を閉じました。

頼朝自ら軍を率いて奥州を攻めました。藤原泰衡は国分原鞭館（現在の榴岡といわれている）に陣を張りましたが、前線で戦っていた平泉軍の大敗を知って逃亡したのです。

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