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特徴ある地層:那珂湊群(茨城県)

恐竜が闊歩していた時代の世界を垣間見られる場所が、茨城にあります。ひたちなか市南東部の平磯海岸(ひらいそかいがん)です。平磯海岸の岩礁部に露出する那珂湊群層(なかみなとそうぐん)は、日本ではめずらしい白亜紀(約7500万年前)の地層群です。海岸で見られる地層は平磯(ひらいそ)層、磯合(いそあい)層に分けられます。白亜紀の頃は、まだ茨城県域はできておらず、海の底にありました。当時の海底には、アンモナイトや海生爬虫類などが生息していました。こうした生き物たちの化石が、平磯海岸のあちこちで見つかっています。

特徴ある地層:三波川変成帯(埼玉県)

じつは長瀞一帯の地層は、約1億6000万 〜1億年前に形成された海洋底地殻の玄武岩(げんぶがん)と海溝に積もった砂や泥といった堆積物が元になっています。これらはまず、海洋プレートとともに大陸プレートの下へと沈み込んでいきました(地球表面には何枚もの分厚くて固いプレートが乗っています)。そして、地下15〜30㎞の深さで膨大な圧力と熱による変成作用を受けると、鉱物が再結晶して結晶片岩(けっしょうへんがん)と呼ばれる変成岩になりました。これが、その後の地殻変動などにより上昇し、地表に現れたのが長瀞一帯の岩です。

長瀞で見られる結晶片岩には、石墨(せきぼく)片岩、緑泥石(りょくでいせき)片岩、緑簾石(りょくれんせき)片岩、スティルプノメレン片岩、世界的にもめずらしいピンク色をした紅簾石(こうれんせき)片岩などがあります。同じ時代の沈み込み帯により形成された結晶片岩が分布する地質を「三波川変成帯(さんばがわへんせいたい)」といい、長瀞を東端に西は九州まで約800㎞にわたって帯状に続いています。

このように、太古の地中深くで起こった地球規模の地殻変動によって生まれた岩石を目視できることから、長瀞は「地球の窓」と呼ばれています。

特徴ある地層:銚子層群(千葉県)

房総半島地表面の大半は、約6600万年前よりも新しい「古第三紀(こだいさんき)」という新しい時代の柔らかい地層でできています。ところが、千葉県東端部で半島状に突き出た銚子には、千葉県域ではもっとも古い中生代のジュラ紀から白亜紀(はくあき)、つまり、恐竜が生きていた頃の地層が露出しています。

白亜紀前期の地層からなる銚子層群

銚子半島の最高地点は、南東部にある海抜73.6mの愛宕山で、周辺には愛宕山層群と呼ばれる約2億年前の地層が分布しています。

愛宕山層群の上部には、白亜紀前期の堆積物である銚子層群があります。これは黒生以南の海岸に露出する約1億3000万~1億年前の地層で、礫岩、砂岩、泥岩からなります。およそ南の地層ほど新しい積み重なりをしています。

銚子層群は、アンモナイトやトリゴニアなど、恐竜時代の化石が多産することでも有名です。とくに犬吠埼(いぬぼうさき)は、浅海でのさまざまな堆積構造や太古の生物たちが生きていた跡(生痕化石)がよく観察できることから、2002(平成14)年3月、「犬吠埼の白亜紀浅海堆積物」として国の天然記念物に指定されています。

特徴ある地層:鏡ヶ浦層(千葉県)

軍都・館山に残された海軍の赤山地下壕。そこは、貴重な戦争遺産としてだけでなく、鏡ヶ浦層という地層を立体的に観察できる貴重な場です。鏡ヶ浦層は、西岬層と同時期に堆積した海成の砕屑岩類に火山灰やスコリアが挟まった砂泥互層で、模式地は赤山です。

地下壕の鏡ヶ浦層は、風化の影響を受けておらず新鮮です。単斜構造(およそ同一方向に傾斜している地質構造)の美しい砂泥互層を見ることができ、部屋(通路)ごとにその形(模様)が変わるのがおもしろいです。どの地層がどこへつながっているか、目で追っていくとわかります。一般的な崖の観察とは違って、壕内は、両サイドと天井に地層が連続しており、地層が立体的に堆積していることを体感できるというわけです。

特徴ある地層:掛川層群宇刈層・大日層(静岡県)

牧之原市の相良地区から天竜川左岸にかけて「掛川層群(かけがわそうぐん)」と呼ばれる地層が広がっています。中でも掛川市北部から森町にかけて流れる原野谷川や逆川の流域では、貝類を中心とした化石が数多く産出することで知られています。

掛川層群の地層断面が見つかった宇刈里山公園

袋井市北部にある宇刈里山公園には、建設過程で発見された掛川層群の地層断面や、公園近くで採取した貝化石密集層のブロック標本などが展示され、子どもから大人まで、楽しみながら地域の大地の成り立ちを知ることができるようになっています。

公園内に露われている「宇刈層」と呼ばれる地層では、生痕化石や、波がうねったような形で縞模様が交差する「ハンモック状斜交層理(じょうしゃこうそうり)」を観察することができます。宇刈層の下にあるのが「大日層」と呼ばれる砂岩層。こちらは宇刈層よりも浅い沿岸で堆積し、礫や貝化石を豊富に含んでおり、貝化石だけでも200種以上が発見されています。

大日層が分布するこの辺りは古くから多くの調査や研究がなされており、200万年前に西南日本の太平洋側に栄えた暖流域の動物群(掛川型動物群)の模式地として全国的に知られています。

特徴ある地層:師崎層群(愛知県)

標高100mほどの丘陵が続く知多半島の南部、美浜町野間周辺から南知多町師崎(もろざき)、沖合の日間賀島(ひまかじま)にかけた地域には、師崎層群(もろざきそうぐん)と呼ばれる地層が分布しています。

師崎層群は、約2000万~1500万年前(新生代新第三紀中新世)の海に堆積した、おもに砂泥互層(さでいごそう)からなり、層厚は1000m以上と考えられています。また、下位(堆積した年代が古い順)から日間賀層、豊浜層(とよはまそう)、山海層(やまみそう)、内海層(うつみそう)に区分されます。深海に堆積した師崎層群が、知多半島をなすまでに陸地化しているのは、造山運動や地震によって隆起したためです。

この地層、深海生物の化石の世界的産地だった!

師崎層群は、伊勢湾で向かい合う三重県津市周辺に分布する一志層群(いっしそうぐん)と同時代の地層ですが、貝化石を多く産出する一志層群に対して、こちらは、あまり化石が出ない地層と考えられてきました。

それが1980年代、国が進める大規模な農地開発によって、各所で新しい崖(露頭)が出現すると事態は急変。師崎層群からは有孔虫や貝類、甲殻類、ウニなどの棘皮動物(きょくひどうぶつ)、魚類、哺乳類と多種多様な化石が見つかるようになったのです。

特徴ある地層:山砂利層(岡山県)

岡山県中央に広がる吉備(きび)高原には、全国的にも珍しい「山砂利(やまじゃり)層」という地層が見られます。山砂利層はかつての河原に堆積していた地層だと考えられています。驚くべきことに、地層を構成する礫と現在の河原にある砂利は大きさや礫種もほぼ同じものだということが分かっています。山砂利層には、こぶし大から人の頭くらいの中~大礫サイズで、丸い円礫や丸と角の中間型である亜円礫が分布しています。

大阪層群にも砂利地層がありますが、こちらは約200万年前のものとされています。吉備高原の層も発見当初は同じくらいの年代のものかと思われていましたが、まれに挟まる凝灰岩(ぎょうかいがん)を年代測定した結果、吉備高原の山砂利層は約2500万~6000万年前の古い地層だということが分かりました。崩れやすい山砂利層が現存する事実が示すものとは、いったいどのようなことでしょうか?

>>岡山の地層「山砂利層」についての詳しくはこちらの記事へ

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